ミクロ経済学経済学

【イラスト図解】ゲーム理論とは?ナッシュ均衡や囚人のジレンマをわかりやすく解説 | かんたんなミクロ経済学

この記事は、ゲーム理論について解説していきます。ゲーム理論は、ビジネスマンの間でもかなり知られています。例えば、囚人のジレンマなどは有名でしょう。

オススメの書籍としては『ゲーム理論入門の入門』です。合わせて読んでみてください。

この記事でわかること
  • ミクロ経済学の全体像がつかめる
  • ゲーム理論の概要をつかめる
  • ナッシュ均衡、囚人のジレンマなどの有名な単語の意味について理解できる

また、この記事はミクロ経済学についての知識があるとより理解を深めることができると思います。参考までに以下の記事を読んでみてください。

ミクロ経済学の記事一覧

経済学とは?
ミクロ経済学の全体像
▼需要/供給曲線の導出
消費者理論
生産者理論
▼需要/供給曲線の分析
部分均衡分析
一般均衡分析
▼市場に関する不都合
市場の失敗
不完全競争市場
▼その他の理論
貿易理論
ゲーム理論

ゲーム理論とは?

ゲーム理論とは

ゲーム理論とは、一定のルールのもと利害関係を持つ相手がいる中で、自分と相手が最適な利益を得られる状態を数学的に導き出す理論のことです。

そもそもゲームとは、一定のルールにもとづき個人が意思決定をするなかで、お互いに影響を与え合う状況のことを指します。

このゲームの中の意思決定をする主体のことをプレーヤーといいます。プレーヤーたちが選択することが可能な行動を戦略(strategy)といいます。

それぞれの「戦略」を選択したときの結果を利得(pay off)といいます。

ゲームとは?

ナッシュ均衡とは?

ゲームの中でプレーヤー達が戦略を考え、行動した結果利得が得られることを説明してきました。その際に、それぞれのプレーヤーが最適な戦略を取って利得を最大化している状態のことナッシュ均衡と言います

CHECK

ナッシュ均衡プレーヤーが最適な戦略を取って利得を最大化している状態のこと

ナッシュ均衡とパレート最適の違い

また、経済学の概念でパレート最適という言葉があります。こちらは、それ以上利益を出すためには誰かを犠牲にしなければいけない状態のことです。 つまり、最適な状態です。

一方、ナッシュ均衡は、自分の選択を変えると利益が得られない状態であることに注意してください。つまり、まだマシな状況ということになります。

のちに説明する囚人のジレンマの事例でいうと、どちらの囚人も自白せずに無罪放免になる状態が、パレート最適です。(詳細は次節の「純粋戦略」で)

ナッシュ均衡の性質

ナッシュ均衡は状況によって、存在したりしなかったりする場合があります。それが以下の4つになります。これは、プレーヤーのとる戦略の性質によって異なります。

  1. 必ずしもパレート効率的とは限らない:純粋戦略(囚人のジレンマ・ゲーム)
  2. ナッシュ均衡が存在しないこともある:純粋戦略(ゼロ・サム・ゲーム)
  3. ナッシュ均衡が複数存在する可能性がある:純粋戦略(逢引のジレンマ・ゲーム) 
  4. 支配均衡戦略は必ずナッシュ均衡になる:支配均衡戦略 

詳細は次の節で紹介していきます。

純粋戦略:囚人のジレンマ・ゼロサムゲーム・逢引のジレンマ

純粋戦略とは?

プレーヤーがある特定の選択肢を1つ選ぶ場合を、純粋戦略といいます。例えばじゃんけんで、グー、チョキ、パーのいずれかを確定的に出すような戦略のことです。その具体例として

  • 囚人のジレンマ
  • 逢引のジレンマ
  • ゼロ・サム・ゲーム

があります。これらは、ナッシュ均衡の1〜3の性質に当てはまります。それぞれ説明していきます。

CHECK

純粋戦略プレーヤーがある特定の選択肢を1つ選ぶような戦略のこと

囚人のジレンマ・ゲーム

囚人のジレンマ・ゲームでは、ナッシュ均衡が成立している一方で、パレート効率的な資源配分が実現されていません。囚人のジレンマ・ゲームについて具体的に説明します。

共同で犯罪を行った容疑者AとB人が捕まり、それぞれ別々の取調室で聴取を受けています。

このとき、相手を裏切れば自分は無罪になり、黙秘を貫いたとしても相手が自分を裏切り損を被るかもしれないという状態に置かれることになります。これを囚人のジレンマと表現したのです。

具体的な条件を挙げて説明してみましょう。

  • 条件①:AとBが黙秘すればともに懲役1年
  • 条件②:AとBが自白すれば懲役5年
  • 条件③:Aが自白、Bが黙秘すればAは無罪、Bは懲役10年
  • 条件④:Bが自白、Aが自白すればBは無罪、Aは懲役10年

上記の4つの条件を表にまとめると以下のようになります。

2人お互いに黙秘すれば、両者にとって有利な利得を得られ状態を想定します(条件①は懲役1年)。この場合は、パレート最適と呼ばれる状況になります。

しかし、逆に片方だけが自白してもう一方が黙秘した場合を想定すると、片方が大きな利得を得ることができ、もう片方の損害が非常に大きくなります(条件③、④)。

AとBは、なるべくリスクを避けようとします。結果として自白して条件②に落ちつくことになるのです。これがナッシュ均衡と呼ばれる状況になります。

逢引のジレンマ・ゲーム

逢引のジレンマ・ゲームでは、ナッシュ均衡が複数存在する場合を想定します

男女のデートでどこに行くか?という時の例が該当します。例えば男が屋外デートがよいと考えており、女が室内デートを考えていたとします。

  • 条件①:男と女が両方とも屋外デートに行く
  • 条件②:男と女が屋内デートに行く
  • 条件③:男が屋内デート、女が屋外デートに行く
  • 条件④:男が屋外デート、女が屋内デートに行く

この場合、両方を取ることはできないのでどちらかを取らなければなりません。点に注意が必要です。

すると条件②と条件①のみが選択可能な条件として残されることになります。この時の選択可能な選択肢である、条件①②がナッシュ均衡に該当することになります。

ゼロ・サム・ゲーム

ゼロ・サム・ゲームとは、プレーヤーとその他のプレーヤーの利得の合計が0になってしまう状態のことを指します。

例えば、将棋やチェスなどがそうでしょう。限られた駒の中でどちらかが負けてどちらかが勝つという状態になっています。

以下の表は囲碁を例に出しました。基本的に引き分けなく、どちらかが勝利します。結果、勝者は10の効用を持っていき、敗者は-10の痛みを受けることになります。

結果、両者の効用の合計は0になります。これがゼロサムゲームと言われる所以です。

このゼロ・サム・ゲームにおいては、ナッシュ均衡が存在しない状態が起きてしまいます。

支配均衡戦略

自分以外のプレイヤーが何を選んでも、自分の他の戦略よりも良い戦略のこと支配戦略といいます。

 例えば、(フレンチレストランに行くのが大好きな)AさんとBさんが、フレンチレストランと牛丼屋に行くので迷っているとします。その際に、AさんにとってBさんがどちらに行くのかに関する知識は不要です。ただ自分の好みだけを知ってフレンチレストランに行けば良いのです。

このように、相手の利得や戦略に関して知識を持っていない状態でも、自分の利得を最大にできる戦略のことを支配戦略というのです。

 支配戦略均衡とは、プレーヤー全員が、他のプレーヤーの動向に関係なく己の利得を最大化する戦略を取り合っている状態のことを指します。この場合、支配均衡戦略はナッシュ均衡に必ずなることになります。

さいごに

経済学のおすすめの本

最後まで読んでいただきありがとうございます!

この記事をきっかけで少し経済学について理解を深めたいと思った方は、以下の書籍から初めてみるのがおすすめです!

それは、スタンフォード大学で一番人気の経済学入門 ミクロ編・マクロ編です。

こちらはミクロ経済学に関して難しい数式を使うことなくわかりやすく説明してくれています。

これらの本を理解できたら、次に『スティグリッツ入門経済学』を読んでみるのもアリだと思います。ですが、正直、信じられないくらい分厚いので覚悟は必要かもしれません。

しかし、この本を読めば経済学という学問の全体像を知ることができるのでオススメです。

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