仮想通貨、DAO、メタバース。近年はこうしたバズワードが乱立しています。これらは全てWeb3.0(Web3)に包摂される概念です。
ではWeb3.0(Web3)とは結局、何なのでしょうか?この記事ではWeb3.0(Web3)についてわかりやすく解説して行きます。ちなみに読み方はウェブスリーと読みます。また、最初に結論を言ってしまうとWeb3.0(Web3)とは、
- ブロックチェーン等の新技術を利用した新しいインターネットの形のこと
- 仮想通貨、ブロックチェーン、暗号資産等の概念のリブランディング的概念
この概念を理解することでより知識をよりマクロで捉えることができます。ぜひこの記事で一つでも何かを持ち帰っていただけると幸いです。
この記事は、経済オタクで仮想通貨にハマっている資本主義の奴隷編集部が執筆しています。
Web3.0(Web3)とは?
Web3.0(Web3)の定義
Web3.0(Web3)とは、簡単にいうとブロックチェーン技術を基盤とした新しいインターネットのことを指します。非常に曖昧な概念であり、人によっては考え方は様々ですがここでは初心者にわかりやすいようにこの定義でいきます。
ただ、定義は現時点でも曖昧な状況です。ちなみに、Thirdverse代表取締役の國光宏尚氏は、Web3を仮想通貨や、暗号資産、ブロックチェーンのリブランディングともいっています。
次世代インターネットとして注目される概念。巨大なプラットフォーマーの支配を脱し、分散化されて個と個がつながった世界。電子メールとウェブサイトを中心としたWeb1.0、スマートフォンとSNSに特徴付けられるWeb2.0に続くもの。
『経済財政運営と改革の基本方針2022 について』 p17
なぜWeb3.0(Web3)なのか?
Web1.0、Web2.0と呼ばれる時代のインターネットの構造は中央集権的な構造を備えていました。例えば、GAFAや国家によって人々の情報が一元的に集められていくという感じです。
そして、こうした現状に対して監視社会なのではという批判も加えられることもあります。
こうした課題が、Web3.0(Web3)の到来とともに、民主的で、公平性と透明性が高い分散的なインターネットが生まれ解決される可能性を秘めています。
この根本の技術として利用されているのがブロックチェーン技術であり、ブロックチェーンという技術がWeb3において必要不可欠となっています。
また、Web2.0が完全に否定されてWeb3.0が到来するわけではなく、むしろ中央集権的なサービス以外にも、分散的なサービスも選べるというように、選択肢が増えることが重要なのだと私は考えています。
Web3.0(Web3)の提唱者
Web3.0(Web3)という言葉の提唱者は、イーサリアムの共同創業者でもあるコンピューター技術者のギャビンウッド(Gavin Wood)です。
この言葉が一躍インターネット上でバズワードとなり、世界的なブロックチェーン的な文脈で使用されています。ちなみに彼は、現在はWeb3 Foundationという非営利団体を運営しPolkadot等のブロックチェーンを開発しており、現在もWeb3の最前線で活動しています。
Web3.0(Web3)に至るまでの歴史
続いて、インターネットのこれまでを解説していきます。流れとしては以下のようになっています。
Web1.0やWeb2.0の世界では、中央集権的なデータの流通構造となっていました。しかし、ブロックチェーン技術の登場により分散化の進んだWeb3.0という世界が到来しようとしています。それぞれのWeb1.0からWeb3.0までの流れや特徴について解説していきます。
Web1.0 | Web2.0 | Web3.0 | ||
---|---|---|---|---|
コミュニケーション | 一方通行 | インタラクティブ | エンゲージド | |
コンテンツ | 静的/読み取り専用 | 動的 | ポータブルでパーソナル | |
焦点 | 会社や組織 | コミュニティ | 個人 |
Web1.0
Web1.0は、インターネットが活用され始めた1990年から2000年代前半の期間のことです。この時期のメインサービスは、ホームページや電子メールでした。
ただ、これらは一方通行のコミュニケーションでした。ちなみに、一方向とは中央にサーバーがあり、そこに対してユーザーが情報を読み取るだけという構造のことを指します。
ちなみに以下の写真は、世界で最初のインターネットブラウザで、HTMLのみで書かれた簡素なものでした。
Web2.0
Web1.0の時代が過ぎ去り、2000年代後半から2020年の期間にWeb2.0の時代が到来します。この時代は、GAFA等のプラットフォーマーが支配する時代です。Googleの検索エンジンや、Facebook(現Meta社)や、Twitter社によるSNS、アマゾンのeコマース等のサービスが生まれました。
これらのサービスの特徴として双方向のコミュニケーションが可能になったということです。例えば、SNSならユーザーが情報を読み取るだけでなく発信もできるといったことが挙げられますす。
ただ、この時代はGAFAといった超巨大企業が生まれ、ユーザーの情報を営利企業が独占するといった問題点も発生していました。
例えば、近年だとYoutubeから元国会議員のガーシー(東谷義一)氏が永久追放された件も非常に問題になりました。我々の言論空間がGAFAによって握られているのです。
Web3.0
Web2.0の時代に、GAFAのような営利企業が中央集権的に情報を独占しているという問題点が露呈しました。例えばガーシーがYoutubeから追い出されているように、一企業がプラットフォーム空間のルールを決めている事例が挙げられます。
こうした課題を乗り越えようとする流れで、Web2.0の次にWeb 3.0が登場しました。ブロックチェーン技術等の登場により、こうした営利企業による中央集権的なインターネットではなく、ユーザー同士が民主的に情報を管理する目指しています。
Web3.0では、さまざまなものを分散化していきます。例えば、DAO(自律分散型組織)は既存の組織をより民主的かつ分散的なものに変えていく可能性を秘めています。そのほかにもNFTやDeFi、メタバース等、中央集権的に管理されていたものが分権化を促進する概念が生み出されています。
Web3.0(Web3)の特徴
Web3.0(Web3)は、ブロックチェーン技術に特徴づけられます。このブロックチェーン技術によって生み出されるWeb3の特徴として以下の三つがあげられます。
- トラストレス
- パーミッションレス
- オーナーシップ
パーミッションレス(誰でも加入可能)
誰でも参加できるため、コミュニティー内で技術を相互に共有ことができます。これによってコンポーザビリティーの高いサービスを構築することができるようになります。
ちなみにコンポーザビリティーとは、「複数の要素や部品などを結合して構成や組み立てが可能」という意味になります。これにより、Web2.0の頃は、企業がデータベースを独占していることにより、データベース互換性がありませんでした。
しかしWeb3.0の時代には、同じデータベースを異なるサービスがシェアしたり、共有することができるようになりました。
トラストレス(信頼や権威が不要)
第三者の仲介が不要な状態で、取引を実現することができる点もブロックチェーンの特徴です。これはP2Pという通信形式によって実現されています。
オーナーシップ(第三者がいなくても所有権が保障される)
ブロックチェーン技術によってデータが改ざん不能になりました。これにより価値のある通貨を発行することができるようになりました。
これは、国家が発行する通貨も一緒で、お金が複製されてしまうとお金の価値がなくなってしまいます。ですが、国は軍事力を背景に持つ権力によって複製ができないようにすることで価値を保つことができます。
Web3.0(Web3)の重要キーワード
Web3.0では、ブロックチェーン技術によってさまざまなものを分散化します。
Web2.0までの世界では、金融機関や大手プラットフォーマーによる仲介が入っていましたが、以下で解説する仮想通貨やDAOやNFTなどの仕組みを利用することでWeb3.0の世界が実現されようとしています。
仮想通貨(暗号資産)
仮想通貨とは、電子データのみでやりとりされる通貨です。我々が使用する円と同じように代金の支払いにも使用でき、電子データとして記録されます。
仮想通貨の価値の保証は、ブロックチェーン技術への信頼性によって実現されています。
NFT(非代替性トークン)
NFTはブロックチェーン技術によって生み出されたものです。NFTというのは、非代替性トークン(Non-Fungible Token)の略称です。
世界で唯一無二であることや、作成者、所有権などをデジタル上で証明する仕組みです。
NFTに唯一無二な性格を与えられたは、デジタルデータのことを指します。これまでは所有権は国が認めるのが当たり前でした。
NFTによって、分散的にユーザー同士で所有権を認め合う形が実現するかもしれません。
DAO(分散型自律組織)
DAOとは、Decentralized Autonomous Organizationの略で、和訳すると分散型組織になります。管理者が存在せず、メンバーが共同所有を行うような組織のことを指します。
既存の組織のようなトップダウンではなく、究極の民主主義をテクノロジーで実現した(ようとしている)組織の形です。
DeFi(分散型金融)
DeFiとは、Decentralized Financeの略で、和訳すると分散型金融になります。
分散型金融とは、簡単にいうと、既存の金融仲介業の存在を無効化するアプリケーション、もしくは金融サービスのことを指し示します。
DeFiとは、金融機関のように中央の管理者を必要とせず自律的に運営され、パブリック型ブロックチェーン上でスマートコントラクト(あらかじめ決められた条件を満たした場合にのみ契約を自動的に執行する仕組み)を活用して構築・運用される分散型の金融サービスのことです。
出典:NTT DATA「DeFi(分散型金融)とともに描く新しい金融サービス」
分散型アイデンティティ(DID)
分散型ID(DID)とは、自己主権型アイデンティティを実現するための技術のことを指します。
意味としては、中央集権的なID発行者に依存せず、自分が自分であることや自分に関する情報を証明する仕組みのことです。
ちなみに、マイクロソフトは以下のように定義しています。
分散型アイデンティティとは、ユーザ名などの識別子を、自己所有の独立した ID に置き換え、ブロックチェーンや分散型台帳技術を用いてデータ交換を可能にすることで、プライバシーの保護や取引の安全性を確保することができるトラストフレームワーク
分散型ID(DID)を実現する上で、管理者不在であることが非常に重要です。その際に、ブロックチェーンという技術が非常に重要となってきます。また、ブロックチェーンについては以下の記事をあわせて読んでみてください。
Web3.0(Web3)関連のサービス事例
分散型取引所:Uniswap(UNI)
Uniswap(UNI:ユニスワップ)とは、2018年11月にローンチDEX(分散型取引所)であり、DeFiアプリケーションです。
また、UniswapはガバナンストークンUNIを発行してDAO化が進められています。
UNIを所有していることで、Uniswapの運営や今後の方針に関して決定をする際に、投票を行うことができます。さらに、組織への提案などをする権利を得ることもできます。
分散型SNS:Nafter
Nafterは、Nafter.ioというソーシャルメディアを提供しています。Nafterの主力のサービスになります。
Nafter.ioは、ユーザーがNFTを作成(mint)し、NFTを売買することができ、さらに双方向でコミュニケーションをすることができるWebアプリケーションです。
簡単にいうと投稿内容を販売することができるinstagramです。BNBやイーサリアム、NAFTなどのトークンでNFTの売買が可能になります。
また、接続も簡単で、メタマスクなどのウォレットがあれば簡単にアカウントを作ることができます。
NFTマーケットプレイス:tofuNFT・Opensea
Web3界隈ではNFTの取引所が非常に重要なインフラとして機能しています。NFTマーケットプレイスは人々が気軽にNFTを売買することができるサービスのことを指します。
例えば、tofuNFTは、ブロックチェーンゲーム領域から発行されているNFTアイテムを主に取り扱っています
一方で、Openseaは、どちらかというとコレクティブNFTといったコレクション目的のものがメインストリームを占めています。
このように、近年は多種多様なNFTマーケットプレイスが生み出されています。
Web3.0(Web3)によって自分たちの生活がどう変わるのか
現在のWeb3は短期的かつ投機的なニーズに応えているだけの状況が続いているにすぎません。ただ、長期的に見たさいにWeb3が実社会に根ざすようになることで社会のあり方は大きく変わるのではないかと言われていいます。
アイデアを実現するためのハードルが下がる
一つ目がアイデアが誰でも実現するためのハードルが下がるということです。これまでは、何かしらのお金のかかりそうなアイデアを思いついた場合、誰かに資金調達をする必要がありました。クラウドファンディングがあるじゃないかと言われるかもしれませんが、調達した資金のかなりの割合を手数料という名目で取られてしまうという問題点もありました
しかし、ブロックチェーンの誕生に伴い管理者不在で、分散型に資金調達を可能にしたからです。例えばICOやIEOと呼ばれる仮想通貨を発行して資金調達ができる手段が登場しました。これらをより簡単にできる場所を提供するDEX(分散型取引所)も生み出されています。
より成果に対する報酬が公平に還元される
NFTの登場により、購買履歴を一貫して追うことができるようになりました。これにより、クリエイターに対して公平に利益か還元されるようになりました。
チケットを転売を例に出すと、これまではチケットを高値で売り捌く転売屋が利益を吸い取る形になっていました。しかし、ブロックチェーンに転売の履歴が記載されることで、転売屋の収益の一部をチケット販売元へ還元することができます。
さいごに
この記事では、Web3.0について解説してきました。まとめるとWeb3とは、
ブロックチェーン等の新技術を利用した新しいインターネットの形のこと
ということにまとめられると思います。
今後、日本政府もWeb 3.0の技術を利用して分散型のデジタル社会を実現に向けて動き出しています。Web 3が重要な概念になることは間違い無いでしょう。
より分散化され、信頼性を確保したインターネットの推進や、ブロックチェーン上でのデジタル資産の普及・拡大など、ユーザーが自らデータの管理や活用を行うことで、新しい価値を創出する動きが広がっており、こうした分散型のデジタル社会の実現に向けて、必要な環境整備を図る。
『経済財政運営と改革の基本方針2022 について』 p17
ただ、これだけではただの空虚な概念に過ぎません。実際に、Web3の世界で提供されているサービスを利用してみることが最も学習効果が高いと言えるでしょう。