近年、仮想通貨界隈で話題になり始めているDAO(自律分散型組織)について分かりやすく解説します。
DAOはこれまでの企業をはじめとする組織の形態を大きく変える可能性を持っています。
まず、この記事を読む際にDAO(自律分散型組織)とは
管理者が存在せず、メンバーが共同所有を行うような組織のことを指します。
であるということです。この点を押さえた上でこの記事を読んでいただければと思います。

この記事は、経済オタクで仮想通貨にハマっている労働者マンが執筆しています。
- 仮想通貨初心者が中級者にアップする上で重要な情報を知ることができる
- DAO(自律分散型組織)についての理解が深まる
- 仮想通貨に関する最新の情報が手に入る
なぜDAOが注目されているのか?

仮想通貨界隈では、現在DAO(自律分散型組織)が流行語となっています。なぜなのでしょうか?その理由にはNFTやDeFiなどの仮想通貨分野の盛り上がりがあります。
DAOは仮想通貨から生み出された組織形態です。2017年の仮想通貨がブームになってから、DeFi(分散型金融)、NFT(非代替性トークン)が登場しました。これらは、全てバラバラで起こった出来事ではありません。
なぜなら、仮想通貨はお金、DeFiは金融機関、NFTはモノや土地のあり方を大きく変える技術であり、その延長で、DOA自体は組織を変える技術だからです。
仮想通貨らDAOに至るまでのテクノロジーは、既存の人間社会を支えていたインフラのあり方を大きく変えようしていることが注目の要因なのです。

新 | 旧 |
---|---|
仮想通貨 | お金 |
DeFi | 金融機関 |
NFT | 土地・モノ |
DAO | 組織 |
- 既存の人間社会を支えていたインフラのあり方を大きく変えようしているから
- NFTやDeFiなどの仮想通貨分野の盛り上がり
DAO(自律分散型組織)とは何か?

ここではDAOの定義と、既存の組織との違いについて解説していきます。
DAOとは、Decentralized Autonomous Organizationの略で、和訳すると分散型組織になります。管理者が存在せず、メンバーが共同所有を行うような組織のことを指します。

既存の組織のようなトップダウンではなく、究極の民主主義をテクノロジーで実現した(ようとしている)組織の形です。
- 管理者が存在せず、メンバーが共同所有を行うような組織
- 究極の民主主義をテクノロジーで実現した(ようとしている)組織の形
イーサリアムの公式HPでは以下のように定義されています。
・非中央集権型のメンバー所有のコミュニティ。
出典:イーサリアム公式HP
・インターネット上の見知らぬ人とコラボレーションする安全な方法。
・特定の目的に資金を安全に投入できる場所。
DAO | 従来の組織 |
---|---|
通常はフラットな組織で、 完全に民主化されています。 | 通常は階層的 |
変更を実行するには、 メンバーによる投票が必要です。 | 組織構造によっては、 単独の当事者から変更が要求されることがあり、 または投票が行われる場合があります。 |
投票は集計され、結果は信頼できる 仲介者なしに自動的に実行されます。 | 投票が可能な場合、 投票は内部で集計され、 投票結果はマニュアルで処理される必要があります。 |
提供されるサービスは、 自動的に分散化された方法で処理されます (例えば慈善資金の分配)。 | 人間による処理、 または集中管理された自動化を必要とし、 改ざんされるおそれがあります。 |
すべてのアクティビティは 透明で完全に公開されています。 | 通常、アクティビティは非公開で、 一般には公開されません。 |
DAO(自律分散型組織)の性質

DAO(自律分散型組織)の性質として、主に以下の3つが挙げられます。
- 中央管理者がいない
- 透明性が高い
- 投票で全てが決まる
中央管理者がいない
DAOにおいて、特定の組織の運営者や所有者は存在しません。
中央管理者が存在しないため、コミュニティーに参加している人たちの投票によって意思決定がなされる点に特徴があります。
従来の組織は、中央に意思決定をする人がいて、その意思決定をもとに下の人々が行動をするというトップダウン形式が主流でした。
株式会社は、その最たる例で、経営者が経営計画を策定して、それをもとに労働者が動くトップダウン形式になっています。

DAOは、そのトップダウン形式をテクノロジーで克服し、参加者同士での意思決定を実現した(ようとしている)のです。
投票で全てが決まる:ガバナンストークンの利用
DAOの意思決定に関わるには、組織に何かしらの価値提供を行うことで投票権を得ることが前提になっています。

現時点では、組織から発行されているトークン(ガバナンストークン)を所持することで投票権を保持することができるものが多く見られます。
透明性が高い
ルールの透明性の高さもDAOの特徴の一つです。基本的に組織のルールは、あらかじめ定められたプログラムによって規定されています。
また、プログラムのコードも公開することで透明性を担保しているのです。ルールを破るようなメンバーに対しては、何かしらの制裁が加えられるようになっています。

ルールの運用も、スマートコントラクトという技術によって自動化されているため、誰かの意思によって勝手に制裁が下るということもありません。
DAO(自律分散型組織)の仕組み:ブロックチェーン、スマートコントラクト

DAOはなぜ中央管理者なしで動作し、透明性を担保できるのでしょうか?理由としては、
- ブロックチェーン
- スマートコントラクト
- ガバナンストークン
という技術によって実現されています。
ブロックチェーンによって取引や契約を改ざんできないようにする
ブロックチェーンとは、取引内容を記載する履歴を保存するデータベースのようなものです。
ブロックチェーンは、取引の改ざんがほぼ不可能である点ができないため、DAOの透明性を保証してくれるのです。
- 取引内容を記載する履歴を保存するデータベース
- 取引の改ざんがほぼ不可能である
改ざんが不可能な理由には、ブロックチェーンが
- 一方向にしか流れない
- 一連の鎖になっている
という構造を持っているからです。

これにより、過去の取引履歴を改ざんしようとしても、その後に行われた膨大な取引履歴全てを変更しなければならなくなります。これにより事実上改ざんが不可能となっているのです。
ブロックチェーンに関して別の記事で解説しているので合わせてお読みください。
スマートコントラクトによって自動化している
DAOはスマートコントラクトというプログラムによって実現されています。スマートコントラクトとは、取引や契約などの取引履歴を自動実行するプログラムのことです。
主にイーサリアムを中心に使用されている技術です。
- 取引や契約などの取引履歴を自動実行するプログラム
- イーサリアムを中心に使われている技術
スマートコントラクトはあらかじめ契約内容を定義した上で、契約内容をもとに行われる取引内容を自動実行してくれるのです。

ガバナンストークンによって投票というシステムを実現している
ガバナンストークンとは、イーサリアム上のプロジェクトが新しい機能の追加や除去、割合などを変更したり、新たな提案を行う権利を付与するトークンを指します。

トークンベース
トークンベースのものは、トークンを利用するものが主になります。ガバナンストークンに関しては、DEX(分散型取引所)で自由に取引することができます。一般的には、広範な分散型プロトコルやトークン自体を管理するために使用されます。
具体的な事例としてDeFiとして有名なMakerDAOなどがあげられます。ちなみにMaker DAOはステーブルコインのDAI(ダイ)とは別に、ガバナンストークンのMKR(メイカー)を発行しています。

シェアベース
また、シェアベースのものは密接な関係を持つ人間中心の組織に使用されます。組織に提供するトークンのシェアによって投票権が左右されてきます。
DAO への参加希望者は、トークンや作品といった何らかの価値のある物を提供することで、自分の DAO への参加提案を行います。具体的な事例としてはMolochDAOというイーサリアムに資金提供する組織です。

DAO(自律分散型組織)の課題と将来性

DAOは、既存の法律で捌くことが難しく、まだ多くの国で法律が追いついていません。そのため、法整備が追いついていないのが現状です。
とはいえ、少しずつ法整備が進み始めており。米国ワイオミング州では、2021年にDAOを法人として登録することを認める法案が可決されました。
同様に、ヨーロッパのマルタ共和国でもDAOを有効な法人として認可が進められています。
- 法整備がまだまだ進んでいないのでこれからに期待
- 一部の国では法整備が進みつつある
さいごに
