この記事では仮想通貨Ripple (リップル:XRP)の特徴、仕組み、そして将来性やこれまでの動向など網羅的に解説して行きます。
まず、この記事で最終的に押さえてほしいこととしては、リップルとは
- リップル社の行うプロジェクトやプロダクトもしくは、仮想通貨自体を指す言葉
- 国際送金を主目的としたインフラ的性質が強い仮想通貨
ということです。リップル(XRP)は、他の仮想通貨と比べて開発の目的などが金融機関同士の送金に特化しているなど、特徴的な部分が多くあります。
その点についてこの記事では詳細に解説して行きます。最後までお付き合いください。
この記事は、経済オタクで仮想通貨にハマっている資本主義の奴隷編集部が解説します
仮想通貨のリップル(XRP)とは?
Ripple (リップル:XRP)
リップル(XRP)は、Ripple incによって2012年に発行開始された仮想通貨です。時価総額は現在6位となっています。
2011年にはマイニングアルゴリズムProof of Consensusが開発され、2013年に仮想通貨としての運用が始まりました。
リップルは、国際送金システムSWIFTの課題を解決するための国際送金インフラを目指して開発されました。この点が、ビットコインをはじめとする他の仮想通貨と違いう点です。
運営者と開発者ブラッド
リップルの基礎的な部分は、2004年からカナダのプログラマーのライアン・フッガー氏によって開発されました。現在CECはブラッド・ガーリングハウス(Brad Garlinghouse)氏が就任しています。
運営会社であるRipple incは、価値のインターネットを標榜しており、資産をはじめとする「価値」の移動を瞬時に行うことを目指しています。
XRPトークン
RippleのネイティブトークンであるXRP(ザープ)トークンは、マイニングの報酬として付与される役割がありますが、基本的にインフラとして機能する点が他の仮想通貨と違う点です。
通貨(トークン)名 | Ripple |
ティッカーシンボル・単位 | XRP |
発行枚数 | 2億枚 |
現在の価格 | 約422ドル |
時価総額 | 約700億ドル |
時価総額ランキング | 6位 |
公式HP | ripple.com/xrp |
リップル(XRP)の特徴
続いて、ここではリップル(XRP)の特徴について解説して行きます。リップルには主に以下の3つの特徴があると思われます。
- 国際送金に特化したブリッジ通貨
- B2B的な役割
- 中央集権的な仮想通貨
それぞれ、詳細に解説して行きます。
国際送金に特化したブリッジ通貨
リップル(XRP)は、ビットコインなどの仮想通貨と違いブリッジ通貨としての役割があり、この役割を国際送金に応用されています。
まず、国際送金では違う通貨を交換する必要があります。その際に、通貨Aと通貨B、通貨Cの三つの両替をするパターンを想定してみてください。すると9パターンになります。
しかし、ブリッジ通貨がハブになることで、3パターンになり、両替にかかる取引コストを減らすことができます。
ここでの例は3つだけでしたが、国の数だけ通貨がある国際経済では、国際送金のコストはとんでもないことになるでしょう。ブリッジ通貨によって国際送金の利便性が大きく上がると見込まれています。
B2B的な役割
リップル(XRP)は、対企業、特に金融関連の企業向けのインフラとして提供されています。
そのため、価値を持った通貨というより、金融システムの効率性を上げるためのインフラとしての性格が強いです。
ビットコインやイーサリアムは、それ自体で価値を持つ資産としての役割が強いですが、あくまでリップル(XRP)は価値と価値を媒介するインフラに近いものがあります。
ただ、現在は資金を調達するという裏の目的もあり、一般の方も保有できるように市場に公開されております。
中央集権的な仮想通貨
リップル(XRP)は、中央集権的な性格が強い仮想通貨です。
ビットコインをはじめとする多くの仮想通貨は、ブロックチェーン技術などによって管理者がいないユーザー同士で運営ができる通貨としての性格が強いでした。
ただ、リップル(XRP)はRipple incという運営企業が大きな権限を持っています。
例えば、半分以上のリップルはRipple incが保有しています(最近は、保有を段階的に保有を解除し始めています)。
さらに、マイニングによる承認フローやサーバーに関してもRipple incが権限を持っており、そもそもの設計思想が中央集権的な思想のもと開発された通貨であると言えるでしょう。
リップルの仕組み
続いてリップル(XRP)が機能する仕組みについて解説します。主に
- リップル・トランザクション・プロトコル
- Proof of Consensus
- IOU取引
という三つの仕組みによってリップル(XRP)として機能しています。それぞれ詳細に解説して行きます。
リップル・トランザクション・プロトコル(RTXP)
ブリッジ通貨としてのリップル(XRP)はリップル・トランザクション・プロトコル(RTXP)という送金システムの中で使われることで、意味をなします。
リップル・トランザクション・プロトコルは、
- 異なる決済手段や通貨を安全に両替できるインターレジャープロトコル(ILP)
- 通貨の送金をスムーズに分散型台帳XRP Ledger
という技術を組み合わせてできています。
この仕組みがあるからこそ、先ほど解説したリップル(XRP)がブリッジ通貨としての役割を果たすことができるのです。
Proof of Consensus(プルーフ・オブ・コンセンサス)
リップル(XRP)はPoC(プルーフ・オブ・コンセンサス)というアルゴリズムによって取引の承認を行います。
リップル(XRP)の場合のPoCは、取引データをRippleのサーバーで承認します。承認は、一部のバリデーターという、呼ばれる役割を担う人によって承認がなされます。
また、バリデーターのリストをユニーク・ノード・リスト(UNL)といい、そのうちの80%が正しいと承認すると、取引がブロックチェーン上に記載されます。
ビットコインなどの仮想通貨は、専用のコンピューターを使用して処理するPoW(プルーフ・オブ・ワーク)というアルゴリズムによってマイニングを行い取引の承認を行っています。
この取引は、取引量が増えると処理や送金が遅くなり(スケーラビリティー問題)、取引手数料が高騰してしまいます。一方でPoCは、PoWの管理者が承認を統括しているので、送金が遅れたり手数料が増加する可能性が低くなります。
IOU取引
リップル(XRP)では、 送金時にIOU取引という仕組みを利用しています。
IOU取引とは約束手形などのいわば借金をする取引システムのことです。送金の際に実際に相手の口座に通貨を送るわけではなく、一旦送ったことにします。
これにより、一旦借金をしてその後にその分を回収する仕組みになっています。ちなみに、英語でIOUとはI owe you(借金をする)の略称になっています。
このIOU取引という仕組みによって、送金スピードを早め取引コストを削減することができます。
リップルのこれまでと価格動向
以下のチャートはリップルの本日の価格動向になります。参考までに見てみてください。
また、ここでは、リップルのこれまでについて振り返って行きます。
仮想通貨ブーム:2017〜2018年
仮想通貨バブルは2017年後半に起こりました。バイナンスコインだけでなく、ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨が軒並み値上がりました。
しかし、2018年にはバブルは崩壊し、軒並み仮想通貨全体の価格の減少が起こりました。その後、仮想通貨の冬の時代が訪れました。
これにより、
冬の時代:2019〜2020年
仮想通貨バブルがはじけ、2019年以降は仮想通貨業界は冬の時代になりました。オワコンと言われていた時代です。
しかし、この時代でもリップルは既存の金融機関などとの提携を続けていました。例えば、SBI Ripple Asiaという、Ripple incとSBIホールディングスは共同出資で2016年にベンチャー企業を設立をしています。
その後も、三菱UFJ銀行・SBIホールディングス・みずほフィナンシャルグループ・りそな銀行などの日本国内の金融機関との提携を進めていました。
DeFiブーム:2020年〜
しかし、2020年以降はNFTやDeFiブームなどの仮想通貨業界が大きく盛り上がりました。
これにより、過去最大の値上がりを見せました。さらに、冬の時代においても金融機関との連携を進めていたことが評価されていた事も値上がりの要因として考えられるでしょう。
リップルの将来性と今後
裁判の結果や規制の動向
リップルは米証券取引委員会(SEC)に、訴訟を起こされています。明らかに有価証券としての性格を有しているにも関わらず、有価証券登録をしていないという理由が背景にはあります。
リップル(XRP)はあくまでインフラでした。しかし、実際には投資家の投資対象として売買されています。そのため、インフラなのか金融商品なのか曖昧になっています。
ただ、投資対象となることで資金調達ができるという目論見がRipple incにはあることは事実です。リップル裁判は現在も続いており、将来の価格動向を左右する大きな要因になると思われます。
GAFAの動向
GAFAのうち、FacebookがLibra(現在はdiemへ名称変更)という仮想通貨を発行するプロジェクトを作っていました。ただ現時点ではアメリカ政府の規制によって断念されています。
しかし、GAFAのような多くのユーザー数を抱えている企業群が本腰を入れて仮想通貨を開発したら、リップル(XRP)の競合として脅威になることは間違いないでしょう。
決済システム企業の動向
2021年7月に、SBIレミット株式会社という決済会社とRipple incがオンデマンド流動性サービスの提供を開始しました。
目的としては、送金事業の充実を図ることがありました。
さらに、PayPalなどのキャッシュレス企業との連携が現時点では測れていませんが、今後さらに提携を進めていけば、将来性があると言えるのではないでしょうか?