この記事では、レイヤー2チェーンのOptimism(オプティミズム:OP)について解説していきます。Optimism(OP)は、イーサリアムのスケーラビリティー問題を解決するために開発されました。
レイヤー2チェーンの中では時価総額も第3位に入るほど大きなチェーンへと発展しています。そこで、このOptimism(オプティミズム:OP)の特徴や仕組み、将来性についてわかりやすく解説していきます。
- Optimism(オプティミズム:OP)は、イーサリアムのスケーラビリティー問題を解決するために生まれたレイヤー2チェーン
この経済と仮想通貨をこよなく愛している資本主義の奴隷編集部が執筆しています。
Optimism(OP)とは?
運営企業と創始者
2021年、Optimismは開発したのはあoptimism foundationのCEOであるジングラン・ワンJinglan Wang)です。optimism foundationはサンフランシスコをはじめとしたアメリカに拠点を構えている非営利法人です。
Optimism(オプティミズム/OP)とは
イーサリアムの問題解決を主な目的としたレイヤー2プロジェクトです。2021年12月にメインネットが一般開放されています。さらに、2022年4月には独自トークンであるOPトークンの発行を発表しました。
Optimism(OP)は、イーサリアムをレイヤー1として、レイヤー2に展開されるブロックチェーンです。イーサリアムが抱えるスケーラビリティー問題を解決することを目的として開発されました。
具体的には、Optimistic Rollupといった技術を活用することで、トランザクション処理の効率化に成功しています。これらの技術に関しては後ほど解説していきます。
OPトークン
このプラットフォームで手数料などの支払いに利用されているのが、Optimismが独自に発行するOPトークンです。ガバナンストークンとしても機能してあり、アップグレードの決定等の投票権として機能します。
もちろん、DeFiや取引所でのトレードを目的として使用することも可能です。
Optimism(OP)が開発される背景:トリレンマ
そもそも、レイヤー2のOptimismのようなブロックチェーンが開発される背景にはブロックチェーンの構造的中内がありました。それが、ブロックチェーンのトリレンマです。
イーサリアムが抱えるトリレンマとは、「スケーラビリティ」「セキュリティ」「分散性」の3つの事象を指しています。
スケーラビリティとは、いかに多くの処理を低コストで行えるか、というものでそのプラットフォームの性能といっても過言ではないでしょう。しかし、スケーラビリティーを解決すると分散性が犠牲になります。しかし、分散性を意識するとセキュリティーに課題が発生します。
これらの問題を解決するために開発されたのがOptimismなのです。
Optimism(OP)の特徴
イーサリアムのスケーラビリティー問題とレイヤー2
イーサリアムは、スケーラビリティー問題を抱えているため取引処理速度が遅いことや手数料の高騰を引き起こしていました。
そうした時に、トランザクションをレイヤー1のイーサリアムではなく、レイヤー2で処理(オフチェーンでの処理)をすることで、処理の負荷を分散させる技術が生まれました。このレイヤー2に位置するのがOptimism(OP)です。これにより取引処理速度の高速化やガス代の低価格化に成功しています。
Optimistic Rollup技術
Optimism(OP)をはじめとしたレイヤー2ソリューションは、通常レイヤー1上で行われる取引の一部を処理することで、レイヤー1の負担を軽減します。そのためのソリューションとしてOptimism Rollupという技術を採用しています。
Rollup技術は、レイヤー2で一時的に複数のトランザクションを一つにまとめて、レイヤー1に格納する技術のことです。これまでは、一つのトランザクションが発生したらすぐに格納していましたが、トランザクションが急増すると対応できなくなってしまいます。
そこで一時的にオフチェーン(レイヤー1の外)でトランザクションをまとめてしまうのです。
OVM(Optimistic仮想マシン)
OptimismはdApps(分散型アプリケーション)を開発することが可能です。dAppsとは中央管理者がいなくてもスマートコントラクトによって分散的に運用ができるアプリケーションのことです。
dApps(分散型アプリケーション)とは何か知りたい方は以下の記事も併せてお読みください。
Optimismは、EVM(イーサリアム仮想マシン)とほぼ互換性のあるOVM(Optimistic仮想マシン)を提供しています。OVM(Optimistic仮想マシン)は、イーサリアムとほぼ同じ開発環境でdAppsを開発することができる技術です。
これにより、イーサリアムと互換性を維持した上でのアプリケーション開発を可能にすることで、エコシステムの拡大のスピードを早めることが可能になります。
「Optimism Collective(オプティミズム・コレクティブ)」を実験的に採用
Optimismのガバナンスは少し特殊なものを採用しています。それがOptimism Collective(オプティミズム・コレクティブ)」です。Optimismのガバナンスには、
- トークンハウス
- シチズンハウス
と呼ばれる2つの投票システムで構成されています。機能のアップグレード等を決定するのがガバナンストークンのOPトークンを介した投票を行うトークンハウスです。
一方で、利益の分配を決定するのが、ユーザー固有の譲渡不可能なNFTであるシティズンシップを投票権とするシティズンハウスです。
Optimism(オプティミズム/OP)の将来性
イーサリアムの大型アップデートの影響
イーサリアムは2022年、2023年と大型のアップデートを控えています。そこで焦点となるのがスケーラビリティー問題の解消です。2022年にはPoWからPoSへのコンセンサスアルゴリズムの移行を実施しており、2023年の「シャンハイ」ではシャーディングの導入によってさらに改善をしていく予定です。
そうなった際に、レイヤー2の存在意義がどうなるのかは、Optimismに限らずレイヤー2チェーンの課題でしょう。
レイヤー2プロジェクトの競合
イーサリアムのレイヤー2ブロックチェーンは多数存在しており、Optimismは2022年6月時点でシェアは第3位となっています。こうした競合と共生していくのか、それとも淘汰が始まるのかはこれからの動向に左右刺されるでしょう。
名前(シンボル) | AstarNetwork (ASTR) | Polygon (MATIC) | Arbitrium (ARB) | Optimism (OP) |
---|---|---|---|---|
レイヤー(主軸チェーン) | レイヤー2(Polkadot) | レイヤー2(Ethereum) | レイヤー2(Ethereum) | レイヤー2 (Ethereum) |
EVM互換性 | ○ | ○ | 調査中 | 調査中 |
ガス代 | 調査中 | 1円以下($0.00007) | 調査中 | 調査中 |
1秒に取引できる取引数(TPS) | 調査中 | 6.5万件 | 調査中 | 調査中 |
時価総額 | 193億円 | 11兆円 | 調査中 | 536億 |
Optimism(OP)の価格動向
さいごに
レイヤー2チェーンの中では時価総額も第3位に入るほど大きい規模のこのOptimism(オプティミズム:OP)。特徴や仕組み、将来性についてわかりやすく解説してきました。
これまでの内容をまとめると、
- Optimism(オプティミズム:OP)は、イーサリアムのスケーラビリティー問題を解決するために生まれたレイヤー2チェーン
- 「Optimistic Rollup」技術を利用することでスケーラビリティー問題を克服し知える