ミクロ経済学経済学

【イラスト図解】かんたんな経済学 / 情報の非対称性とは?わかりやすく解説。

 この記事では、経済学の基礎的知識を解説していきます。今回は、情報の非対称性について解説していきます。

結論からいうと情報の非対称性とは、売り手と買い手の間に情報の格差があることです。この記事では情報の非対称性の意味だけでなく、具体的な事例や情報の非対称性が引き起こすリスクについて説明をしていきます。

こちらはミクロ経済学に関して難しい数式を使うことなくわかりやすく説明してくれています。情報の非対称性についてもわかりやすく解説しています、

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この記事で得られること
  • 経済の仕組みを理解することができます。
  • 情報の非対称性について知ることができます。
  • 経済学の基礎知識が身につきます。

また、情報の非対称性は、ミクロ経済学において発見されたいひとつの理論になります。ミクロ経済学に関する記事の一覧を掲載しておきます。参考までにどうぞ。

ミクロ経済学の記事一覧

ミクロ経済学の全体像
▼需要/供給曲線の導出
消費者理論
生産者理論
▼需要/供給曲線の分析
部分均衡分析
一般均衡分析
▼市場に関する不都合
市場の失敗
不完全競争市場
▼その他の理論
貿易理論
ゲーム理論

情報の非対称性とは?

情報の非対称性とは売り手と買い手の間に情報の格差があることです。情報を多く持っている情報の優位者と情報劣位者が生み出され、取引において不公平が生じるのです。

 みなさんは、マクドナルドのハンバーガーの肉をみて「本当にちゃんとした肉なのかな….」と疑問に思ったことないですか?このとき、我々とマックの間で情報の非対称性が生じているのです。

また、情報の非対称性は取引前と取引後かによって性質が異なってきます。

取引成立前に情報優位者しか知り得ない情報を、隠された情報取引成立後に情報優位者しかしらない行動を隠された行動と言います。

隠された情報(Hidden Information)

隠された情報は、取引が生じる前におこる情報優位者が所持する情報のことです。

 有名なものとして中古車市場などはそれに当たります。買い手が中古車を選ぶ際に、見た目がすごい綺麗なのに、安い中古車を見つけたとしましょう。「なぜ、こんなに安いのに見た目が綺麗なんだ?」と疑っていしまいますよね。ディーラーは安い理由を知っています。一方で、買い手は理由を知りません。もしかしたら、過去に人が死んでいるなんて可能性もありますよね。

隠された行動(Hidden Action)

 続いて、隠された行動について説明します。隠された行動は、取引成立後の情報優位者の行動のことです

 有名な例として保険市場があります。自動車保険を例にあげると、売り手は買い手の加入後の行動を知ることができません。保険の加入者が、加入後に安心して不用心な運転をする可能性があるのです。その際に売り手は、加入者の行動を知ることができないのです。

このように、取引成立後の買い手の行動が、売り手にとって知ることのできない状況なのです。それゆえに隠された行動というのです。

情報の非対称性の性質

情報の非対称性において

  • 取引成立後は隠された情報
  • 取引成立前は隠された行動

問題になります

情報の非対称性の問題点

 隠された行動と隠された情報はある問題を引き起こします。前者を原因にしたものがモラルハザード。後者を原因にしたものが逆選択です。

逆選択・・質の悪い商品が質の良いものを市場から淘汰してしまうこと

モラルハザード・・隠された行動によっておこる

逆選択(逆淘汰)

 逆選択は、質の悪い商品が質の良いものを市場から淘汰してしまうことをさします。隠された情報が原因で起こります

先ほどの中古車の例で考えてみます。売り手が、質の低い中古車を良質な車と偽って販売するとします。このとき、買い手は情報劣位者で、車の質の良し悪しは見分けられません。

その際、他の業者が質の高い中古車を同じ値段で売っている場合、買い手からみて中古車質の区別はつかないので、質の高い中古車は市場から退場することになります。

最終的には、中古車市場には質の低い中古車を保有する売り手だけが残ることになります。結果、買い手には中古車市場には質の低いものしかないと認識してしまうのです。

その結果、市場に非効率が生じてしまうのです。

逆選択とは

逆選択は、質の悪い商品が質の良いものを市場から淘汰してしまうことです。市場が効率的に動かなくなってしまいます。

モラルハザード

 モラルハザードは、プリンシパル=エージェント関係保険市場の場合の二つの意味で使われます

プリンシパル=エージェント関係

プリンシパルエージェント関係とは依頼人(プリンシパル)と代理人(エージェント)の関係という意味です。

この関係性で起きるモラルハザードの意味は、エージェントの行動対してプリンシパルが知らない情報があることから、エージェントの行動の質が低くなることです。

これは、株主(プリンパル)より経営者(エージェント)の方がビジネスの知識がわかります。そこで、株主のわからないところで経営者が放漫な経営をすることがモラルハザードと言います。その他、上司というプリンシパルの見えないところで営業マンがサボることもモラルハザードです。

保険市場

また、保険市場でのモラルハザードは、プリンシパル=エージェント関係とは少し違います。先の自動車保険の例で考えてみます。売り手は買い手の行動を制御することができません。その上で、買い手が加入したのちに、運転における緊張感がなくなってしまうことがあります。これも、保険市場におけるモラルハザードです。

逆選択とは

モラルハザードは、二つの意味があります。

  • プリンシパル=エージェント関係の場合:プリンシパルが知らないことにかまけて、エージェントの方がテキトーな行動をする
  • 保険市場の場合:加入者が保険に入ったことにかまけて、テキトーな行動をする

情報の非対称性への対処法

シグナリング(signaling, market signaling)

シグナリングとは、情報優位者が商品の品質に関する情報を情報劣位者に知らせることで、情報の格差を縮小することです

労働市場の例でいうと、資格があげられます。例えば面接の際に、応募してきた人が「会計の知識がある」と言って、実は全く会計について知識がないということがあるかもしれません。

その時に役にたつのが簿記という資格です。資格を提示させることで、応募してきた情報優位の人物に、募集人である情報劣位者に情報を伝達するのです。これによって、募集人は労働商品の品質を見定めることができるのです。

スクリーニング (screening, market screening)

スクリーニングとは、情報劣位者が、情報優位者にいくつかの案を示し、その選択を通して情報を開示させることをいいます。

例えば自動車保険会社が走行距離に応じた複数の割引保険を用意し、保険に加入しようとしている人にどの保険を選択するかを決定させる方法があげられます。これにより、保険会社は加入者の自動車利用の頻度をある程度知ることができます。

情報の非対称性への対策
  • シグナリング:情報優位者が商品の品質に関する情報を情報劣位者に知らせることで、情報の格差を縮小すること
  • スクリーニング:情報劣位者が、情報優位者にいくつかの案を示し、その選択を通して情報を開示させること

さいごに

情報の非対称性について説明してきました。しかし、自分で書いていうのもアレですが、もう少し経済学について理解を深めたい方は以下の書籍から初めてみるのがおすすめです!

この記事をきっかけで少し経済学について理解を深めたいと思った方は、以下の書籍から初めてみるのがおすすめです!

それは、スタンフォード大学で一番人気の経済学入門 ミクロ編・マクロ編です。

こちらはミクロ経済学に関して難しい数式を使うことなくわかりやすく説明してくれています。

これらの本を理解できたら、次に『スティグリッツ入門経済学』を読んでみるのもアリだと思います。ですが、正直、信じられないくらい分厚いので覚悟は必要かもしれません。

しかし、この本を読めば経済学という学問の全体像を知ることができるのでオススメです。

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