この記事では、均衡国民所得について解説していきます。また、それと共に均衡国民所得の求め方についても解説していきます。具体的には
- 消費関数
- 投資の仮定
- 需給均衡式
を利用することで求めることができます。詳細は以下で解説します。
均衡国民所得は、主に、三面等価の原則で言うところの支出の部分を主に取り扱うことになります。三面投下の原則に関する記事もあわせてお読みください、
また、この記事はマクロ経済学の基礎的な部分を理解していた方が読みやすいと思います。興味のある方は以下の記事も合わせて読んでみてください。
均衡国民所得とは?
均衡国民所得について解説していきます。
均衡国民所得とは?
均衡国民所得とは、経済の総需要と総供給が等しくなる国民所得のことです。45度線分析でいうところの総需要曲線と総供給曲線の交点になります。
これは、ある社会における生産されるものとそれに対する需要が一致している状況を指します。
また、45度線分析を簡単に解説した記事もあわせてお読みください。
均衡国民所得に関する重要な考え方
均衡国民所得について重要な考え方があります。それが内生です。内生とは、国民所得と消費はお互いに影響を与え合っているという事です。
不景気になる要因として消費が少ないことが挙げられます。この時の消費と国民所得は、
消費(C)→国民所得(Y)
という関係性が成り立ちます。
しかし、消費が少ないのななぜでしょうか?それは不景気だからです。この時の消費と国民所得の関係性は、
国民所得(Y)→消費(I)
の順番で影響を与えています。つまり、国民所得と消費は鶏と卵の関係にあるのです。
この消費と国民所得の関係性を表す際に使用するのが
- 需給均衡式
- 消費関数
の2つです。(こちらはこの記事ののちに解説します。)。
需給均衡式に関しては、有効需要の原理に関して説明した記事で解説しています。こちらもあわせてお読みください。
国民所得と消費の関係を表す消費関数
国民所得→消費の関係性は、消費関数として表すことができます。消費関数によって消費量がどのような要因で決まるのかを解明することができます。消費関数は、家計が行う消費を決定する要因を分析するものです。
経済全体の支出には、投資や政府支出などがありますが、その中で一番大きな割合を閉めるのが消費です。
そのため国の経済政策では消費がもっとも重要視され、消費関数もまた重要な指標になります。
消費関数は次の形で表します。
消費は二つに分けることができます。
- 基礎消費
- 限界消費性向×国民所得
です。そして、この合計が消費になります。
基礎消費とは、所得の大小とは関係なく必要となる消費のことです。例えば、生きる上で金持ちであろうと貧乏であろうと最低限必要になる消費のことです。消費関数ではC0と表記します。
もう一つが、国民所得×限界消費性向です。限界消費性向とは、所得が一単位増加した時の消費の増加分のことを指します。手に入れたお金の何%を消費に回すのかということです。
例えば、昇給した時にどのくらい贅沢をするようになるのか?というのがそれに当たります。ここでは限界消費性向はc1と表現します。
所得に限界消費性向にかけることで、所得が増えた分のうち消費に回った金額を算出でします。
また、限界消費性向は、0<c1<1の範囲内で収まります。全部使う1以内か、全く使わない0以上の範囲が限界消費性向なのです。
この基礎消費と限界消費性向×所得を足し合わせたものが全体の消費になるのです。
C=C0(基礎消費)+c1(限界消費性向)・Y(国民所得)
投資の仮定
投資についても、投資関数を使って数式を立てることができます。投資関数とは、投資はどのような要因によって決定されるのかを表したものになります。
ここでは、単純化した形で表さすので、投資は一定と想定します。これを、表記するときは、以下のようにIにー(バー)もしくはI0と表します。
大体、均衡国民所得を考える際に投資に関する要素は定数として考えます。ちなみに、このような定数のことを外生と言います。
均衡国民所得の求め方
これまで、二つの式を解説してきました。それが需給均衡式と消費関数でした。これを組み合わせる(連立方程式で解く)と均衡国民所得をも求めることができます。均衡国民所得とは、経済の総需要と総供給が等しくなる国民所得のことです。
数式としては以下のようになります。
Y*=1/(1-c1)・(C0+I0)
では実際に需給均衡式と消費関数の連立方程式を使って均衡国民所得を導いてみましょう。
需給均衡式と消費関数は以下のように表されます。
- 需給均衡式:Y=C+I
- 消費関数:C=C0+c1・Y
国民所得(Y)の値を求めるために、需給均衡式(Y=C+I)に消費関数(C=C0+c1・Y)を代入します。
すると
Y=C0+c1・Y+I0
となります。そのあと、Yを左辺にまとめ、
Y-c1・Y=C0+I0
Yでくくると
Y(1-c1)=C+I0
となります。均衡国民所得を算出するので、Yを左辺に残したまま式全体を(1-c1)で割ります。
Y=1/(1-c1)・(C0+I0)
となります。そしてこの国民所得のYは、総需要と総供給が均衡した状態でのものになります。つまり均衡国民所得です。ですのでYに*をつけて
Y*=1/(1-c1)・(C0+I0)
と表します。これが均衡国民所得になります。グラフで表すと以下のようになります。こちらは45度線分析の記事もあわせて読むことでより理解が深まります。
さいごに
最後まで読んでいただきありがとうございます!
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こちらはミクロ経済学に関して難しい数式を使うことなくわかりやすく説明してくれています。
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