この記事では、DeFi(分散型金融)レンディングのAave(アーベ:AAVE)について解説していきます。Aaveはレンディングをはじめ、独自のフラッシュローンや信用委任といった独自サービス展開しています。
DeFi系のサービスの中でも非常に注目されているものの一つです。プロトコルにロックアップされた資産総額(TVL)は1兆4,000億円(108億ドル)に上り、DeFi市場全体の10%を占めるとも言われています。
- Aave(アーベ:AAVE)は、レンディングプロトコルであり、フラッシュローンやあ信託委任等の新しいサービスを提供している
- マルチチェーン対応をしておりさまざまなトークンに対応している
この経済と仮想通貨をこよなく愛している資本主義の奴隷編集部が執筆しています。
Aave(アーベ:AAVE)とは?
運営企業と開発者
Aaveは、2017年にスタニ・クオチョフ(Stani Kuoechov:@StaniKulechov)氏によって設立されたETHLendを前身としたDeFiプロトコルです。
スタニは、クリプト、ブロックチェーン、およびフィンテックの分野でテクノロジーを開発する豊富な経験を持つベテランの起業家です。また、Aaveの運営自体は、完全に分散化されたコミュニティーであるAaveDAOによってなされています。
レンディングプロトコルAave
Aaveは、2018年にローンチされたDeFiプロトコルです。現在Aaveのスマートコントラクトには、118億ドルが預け入れられている大規模なDeFIプロトコルの一つです。
Aaveでは仮想通貨を貸し出すことで利息を獲得することができるレンディングを提供していますが、それ以外にもAaveが先駆となったフラッシュローンや信用委任といった独自サービス展開しています。
また、当初はイーサリアム上をメインに展開されていましたが現在は、Avalancheや、Fantom、L2チェーンのPolygon、Arbitrum(アービトラム)、Optimism(オプティミズム)等のマルチチェーン対応をしています。
AAVEトークン
AAVEトークンはAaveDAOのガバナンストークンとして使用されます。AaveDAOは、DAO(分散型自律組織)であり、Aaveのアップデートや機能追加などの意思決定の投票権として機能します。
また、AAVEトークンは、Aaveコミュニティーの運営用の資金(トレジャリー)として使用されます。
Aave(アーベ:AAVE)の特徴
レンディングができる
Aaveは、レンディング(貸仮想通貨)を売りにしているDeFiプロトコルです。
レンディングとは、銀行預金のDeFi版で、仮想通貨を預けることで利息を獲得できます。一方で、借り手は仮想通貨を借りる際に利子を支払うことで成立しています。その際に、銀行と違い中央管理者なしでユーザーが直接取引できる点が特徴です。
Aaveのレンディング以下のテーブルのように年利が、一般的な銀行等の金融機関より高くなっています。レンディングでは、仮想通貨を預けているだけで年利で稼ぐことができます。通常の仮想通貨のトレードに比べて低リスクで資産運用が可能になりました。
銘柄 | 年利 |
---|---|
Binance USD(BUSD) | 0.25% |
DAI(DAI) | 0.81% |
FEI(FEI) | 0% |
FRAX(FRAX) | 1.43% |
Gemini Dollar(GUSD) | 0.34% |
LUSD Stablecoin(LUSD) | 0.30% |
sUSD(sUSD) | 0.99% |
TrueUSD(TUSD) | 0.90% |
Curve DAO Toke(CRV) | 2.52% |
Convex Token(CVX) | 7.71% |
Ethereum(ETH) | 3.14% |
信用委託システム(Credit Delegation)を提供
信用委任(Credit Delegation)とは、仮想通貨を預けることで得た「信用(担保権)」をさらに他の人へ貸し出す仕組みのことです。また、信用委任によってさらに利息を獲得することができます。
つまり、貸し手が預けた仮想通貨の担保権を第三者に運用をしてもらうという仕組みです。担保権を委任したユーザー(借りる側)は、低コストで借入をできるというメリットがあります。借りる側も担保権の譲渡先は、企業やNGO、仮想通貨取引所などに定められているので、安心して運用できます。
フラッシュローンを提供
フラッシュローンとは、Aaveに導入したスマートコントラクトによって実行される新しいタイプの無担保ローンです。従来のDeFi (分散型金融) で、借り入れをする際には担保が必要でした。さらに借りる側は担保価値のおよそ75%分の借入れという条件がありました。
しかし、フラッシュローンでは、同じトランザクションでローンを返済できる限りは、無担保で上限なく借り入れを行うことができます。
フラッシュローンは、アービトラージ(裁定取引)を主要目的で使用されます。二つのDEX(分散型取引所)の間の利息の差分で利益を得る取引のことです。例えば、Aaveのフラッシュローンで仮想通貨を借入れて、Aaveより利率の高いレンディングサービスで貸し出すことで利益を得ることができます。
複数のブロックチェーンに対応している
Aaveは、当初はイーサリアムをメインとしたDeFiプロトコルでしたが、現在は合計7つのチェーンに対応しています。
対応するチェーンは、Avalanche(アバランチ)、Fantom(ファントム)等のL1チェーンや、イーサ系のL2チェーンであるOptimism(オプティミズム)、Arbitrum(アービトラム)、Polygon(ポリゴン)にも対応しています。
ちなみに対応できるブロックチェーンのうち、取引量の大半を占めるのがイーサリアムであり、ついでPolygon、Avalancheとなっています。
Aave(アーベ:AAVE)の将来性
ステーブルコインGHOの発行によるエコシステムの拡大
Aaveは、GHOという独自ステーブルコインの導入を検討しています。
GHOは米ドルの価値に連動(ペッグ)する予定となっています。マルチコラテラル(複数担保)型ステーブルコインという複数の種類の資産を担保に発行されるステーブルコインです。Aaveプロトコルに預けた資産の評価額に対して一定の割合で発行される予定です。
The community has given the greenlight 🟢 for GHO 👻 The next step is voting on the genesis parameters of GHO, look out for a proposal next week on the governance forum https://t.co/ba4oK50Wb8
— Aave (@AaveAave) July 31, 2022
ステーブルコインとは何か知りたい方は以下の記事も併せてお読みください。
設計上の欠陥の存在
Aaveは2022年に市場操作による攻撃で2.4億円の損害を受けています。これはAaveの構造上の血管をついた攻撃でした。この事件の損害は、プロトコルのトレジャリー(財務)でカバーされており、今後の対策がAaveDAO内で議論されてるそうです。
Aave(アーベ:AAVE)の価格動向
さいごに
DeFi系のサービスの中でも非常に注目されているものの一つAaveについて解説してきました。この記事の内容をまとめると以下のようになります。
- Aave(アーベ:AAVE)は、レンディングプロトコルであり、フラッシュローンやあ信託委任等の新しいサービスを提供している
- マルチチェーン対応をしておりさまざまなトークンに対応している