最近注目されている仮想通貨ですが、今回はその中でも特に人気のあるSymbolとそのネイティブトークンであるXYM(ジム)ついてご紹介します。
Symbolの特徴や仕組み、今後の展開などを探っていきます。さらに、SymbolとNEMの比較も行いますので、興味のある読者はぜひ読み進めてください。
また、Symbolとはまとめると以下のようになります。
- NEM財団が開発主体となっているハイブリッドブロックチェーン
- NEMの大型アップグレードによって生まれトランザクション速度やセキュリティ面が大幅改善している
この記事は、経済オタクで仮想通貨にハマっている資本主義の奴隷編集部が解説します
Symbol(XYM)とは?
Symbol(XYM)の概要
Symbol(XYM)とは、NEM(XEM)をアップグレードしたハイブリッドブロックチェーンのことです。「Symbol」のメインネットの公開が2020年に実施されました。また、主に企業や公的機関の利便性を考慮したブロックチェーンとなっています。
基本的にはネム(XEM)の、主に
- トランザクションの処理速度
- セキュリティ面
が大幅に改善されているという特徴を持っています。また、NEM(XEM)については以下の記事もあわせてお読みください。
また、Symbolは新しい経済を推進することをビジョンに掲げています。また、公式サイトには「既存および新興経済圏ともども『破壊』」することを掲げています。
私たちはブロックチェーンは 新しい経済 を推進するために最も適した技術であると信じ、そしてその追及への私たちの貢献が Symbol です。
Vision: Symbol²
運用組織と創設者
元々、NEM(XEM)は、NEM財団によって運営されていました。代表理事はAlexandra Tinsman(アレクサンドラ・ティンスマン)氏です。
ただ、別の記事でも解説しているSymbol(XYM)の効率的な開発を見据えて2020年4月には解散して、NEM財団は解散しました。
その後継として、NEMグループ(NEM Group Ltd.:NGL)が設立され、以下の三部門を持った組織になりました。
- NEM Trading
- NEM Ventures
- NEM Software
仮想通貨XYM
SymbolのネイティブトークンにはXYM(ジム)が採用されています。
XYMトークンは、ステーキングの一種であるハーベストをすることで増やすことができます。
通貨単位 | XYM(ジム) |
発行可能上限数 | 8,999,999,999 XYM |
公式サイト | docs.symbol.dev |
時価総額ランキング(2022年1月時点) | 213位 |
Symbol(XYM)の特徴
ハイブリッドブロックチェーン
Symbolはハイブリッドブロックチェーンと呼ばれる種類に属しています。
ハイブリッドブロックチェーンとは、誰でもアクセスできるパブリックブロックチェーンと、管理者を設定できるプライベートブロックチェーンのどちらにも対応することができるチェーンのことを指します。
これまでは、プライベートチェーンとパブリックチェーンの選択や設定は、難しかったのがSymbolの登場によって容易になりました。
ハイブリッドブロックチェーンであることでSymbolは、個人ユーザーだけでなく企業や公的機関のさまざまなニーズに応えることができるようにしました。
パブリック型 | コンソーシアム型 | プライベート型 | |
---|---|---|---|
イメージ図 | |||
管理者の有無 | なし | あり(複数企業) | あり(単独) |
参加者 | 不特定多数 | 特定複数 | 組織内 |
合意形成の仕組み | Pow/Pasなどによる承認 | 特定者間のコンセンサス | 組織内の承認 |
利用モデル | ビットコイン | 金融機関などによる利用 | 金融機関などによる利用 |
ブロックチェーンという技術についての理解を深めたい方は以下の記事もあわせてお読みください。
スマートコントラクトを組まずにサービス実装ができる
イーサリアムやSolanaなどのチェーンは、スマートコントラクトを組むことで dApps等のサービスをデプロイしてきました。
しかし、Symbolはプラグインと呼ばれる機能グループを組み合わせることでサービスを作り出します。これには開発の自由度が下がるなどのデメリットもありますが、開発がシンプルになり任意の開発言語を使用することができます。
また、プラグインはちゃんと検証されているため迅速かつコスト効率の良い構築が可能です。バグが発生するリスクも少なく開発者にとって非常にメリットのある仕組みになっています。
Proof of Stake Plus(PoS+)を採用している
SymbolはコンセンサスアルゴリズムにPoS+(Proof of Stake Plus)を採用しています。
PoS+では、XYMトークンの保有量だけでなくエコシステムへの貢献度も重要な指標になっています。既存のPoSはトークンの保有量のみが指標とされてきました。そのため、より多くのトークンを持つお金持ちが得する格差のあるエコシステムになる傾向がありました。
そこで、貢献度として他ユーザーからのハーベスティング委任量や活動量等を設定することで、格差の広がりにくい仕組みになっています。
Symbolは、これまで説明してきたPoS+を採用することで、NEM(XEM)より高い処理能力が可能となっています。
マルチレベルマルチシグの採用
SymbolはNEMと比べてもセキュリティーが非常に高いブロックチェーンになっています。それを実現する技術としてマルチレベルシグを導入しています。
マルチシグとは、仮想通貨の取引などを複数の秘密鍵の署名が必要にする仕組みです。これにより、高いセキュリティーを実現しています。イメージとしては複数の鍵を必要とする共同の金庫のようなものです。
これにより、企業や公的機関も安心して使用することができるセキュリティーレベルのブロックチェーンとしての地位をSymbolは築こうとしています。
NEM(XEM)とSymbol(XYM)の比較
SymbolはNEMを大型アップグレードしたブロックチェーンであることをこれまで解説してきました。NEMは主に個人開発をメインとしているのに対して、Symbolは、個人だけでなく法人むけの開発にも使用されます。
通貨名 | ||
---|---|---|
利用ブロックチェーン | NIS1(通称NEM) | Symbol |
目的 | 個人向け開発 | 法人向け開発 |
承認アルゴリズム | PoI | PoS+ |
API言語 | Java | C++ |
Symbol(XYM)の将来性
企業や公的機関が採用している
これまで解説してきたSymbolのメリットは、企業や公的機関が採用する上で大きなメリットになります。
今後、採用する企業が増える可能性はかなり高いでしょう。
Symbol上でのDeFi分野の成長
SymbolはDeFi分野への進出を強化しています。Symbolのトランザクション処理能力は他よりも高いため、個人から企業に至るまで多くのDeFiユーザーに対応できます。
現状として、DeFi分野ではイーサリアムなどのチェーンがメインでスケーラビリティーに課題を抱えています。そこで、トランザクションの処理速度が速いSymbolが名乗りをあげています。またDeFiとは何かについては以下の記事を参照ください。
こうした強みを持つSymbolはL1チェーンのFantomを開発しているFantom財団とのパートナーシップを結んでいます。
Symbol(XYM)の価格動向
さいごに
Symbolの特徴や仕組み、今後の展開などを探っていきました。主に法人向けに開発されたハイブリッドブロックチェーンであったことが分かると思います。また、Symbolとはまとめると以下のようになります。
- NEM財団が開発主体となっているハイブリッドブロックチェーン
- NEMの大型アップグレードによって生まれトランザクション速度やセキュリティ面が大幅改善している