Web3プロジェクトの一つの資金調達手段であるICO(Initial Coin Offering)とそれに代わるIEO、STOについて近年話題になっています。その中で資金調達手段も法規制の中で少しずつ変わってきています。
そこで、この記事ではICOを中心に解説したのち、それにかわる資金調達手段のIEOやIDO、STO等の手法について解説していきます。また、この記事の内容をまとめると以下のようになります。
- ICOとは、企業(もしくは個人)が独自の新しいトークンを発行し、販売することで、資金を調達する仕組みのこと
- ICOの詐欺の多さからIEOやIDO、STO等のより投資家保護の観点が強い資金調達手段が生まれている
この記事は、経済オタクで仮想通貨にハマっている資本主義の奴隷編集部が解説しています。
ICO(Initial Coin Offering)とは?
ICOとは、Initial Coin Offeringの略称です。日本語の場合、新規通貨公開と言われています。そのほかには、クラウドセール、トークンセールなどと呼ばれることもあります。
ICOは、仮想通貨プロジェクトを始めたい個人または団体が資金調達をするための手段のことです。プロジェクト側はトークンを発行します。そのトークンを投資家が購入します。これによりプロジェクトは資金調達ができます。
また、返済義務は存在しない点が、既存の株式の発行と近いものがあります。
ICO(Initial Coin Offering)のプロセス
ICO(Initial Coin Offering)の手順としては、以下のプロセスを経ることとになります。
プロジェクトのアナウンス
まずは、プロジェクトの存在を世の中に公開します。主に、以下の手法が取られることがあります。自社プロジェクトがいかに魅力的かをさまざまな手段でマーケティングします。
- プレスリリースを打つ
- 自社公式SNSで表明
特定の投資家への営業
また、プロジェクトは資金調達を確実に行うために、VCや大口投資家に根回しをしてトークンの購入の説得を行う場合もあります。このフェーズは、アナウンスが実施される前に行われる場合もあります。
ICOのPR
アナウンス後、さらに認知を拡大させるために、SNSやインフルエンサーの登用によりマーケティング活動に力を入れていきます。ここでのターゲットは主に一般の投資家です。
ICOによるトークン販売の開始
そして、いよいよICO当日にトークンの販売を実施します。
ICO(Initial Coin Offering)に変わる資金調達手段
ただ、ICOはポンジスキームと言われる詐欺の温床になってしまいました。資料だけ綺麗に作ってしっかり営業活動をして、結局プロジェクトを放棄して逃げるなんてことはザラでした。
そこで、ICOの代わりとなる手法の開発が進みました。それが以下のテーブルに掲載されているものです。
ICO | IEO | IDO | |
---|---|---|---|
定義 | トークン総供給量の一部を単独で一般に販売 | トークン供給総量の一部は、集中型取引所(CEX)を通じて一般に販売 | トークン供給総量の一部は、分散型取引所のローンチパッドを通じて一般に販売 |
ファンドレイジングの実施者 | ICOを発行するプロジェクト | 集中管理された取引所 | 分散型取引所か、IDOのローンチパッド |
クラウドセール後のトークン上場 | トークン上場のために様々な取引所に働きかける | トークンは自動的にCEXに上場される | トークンは自動的にCEXに上場される |
審査プロセス | 誰でもICOを発行することができる | プロジェクトは、リスティング前に厳格な審査が行われる | プロジェクトは審査され、ローンチパッドの基準に合致している必要がある |
トークンの有無 | トークンはすぐに入手できないため、投資家は取引所への上場を待つ必要がある | トークンはすぐに取引できるものではない | トークンは、すぐに利用可能になるか、または権利確定期間がある |
マーケティング | ICOを発行するプロジェクトは、ICOを推進するために多額の資金を費やす必要がある | 暗号資産取引所はIEOを推進し、マーケティングを担当 | マーケティングは、ローンチパッドとプロジェクトの両方が行う |
IEO(Initial Exchange Offering)
IEO(Initial Exchange Offering)とは、プロジェクト側が仮想通貨取引所(CEX)に委託してトークンを販売する形態のことです。また、IEOしたトークンは仮想通貨取引所に上場されることになります。
ただ、仮想通貨取引所(CEX)側の厳重な審査を通す必要があり、多くの手続きが必要になります。ただ、取引所がマーケティングを代行してくれるなどのメリットがあるのも事実です。
IEOでは、仮想通貨取引所でトークンが先行販売される。先行販売では、公開価格より割引された価格でトークンを購入できる。
IDO(Initial DEX Offering)
IDO(Initial Exchange Offering)とは、DEX(分散型取引所)を通してトークンの販売を実施する資金調達手法のことです。IEOのように仮想通貨取引所の厳重な審査を経る必要がないため、審査基準は緩くなっています。
さらに、分散型なプロセスを経ているため、煩雑な手続きがない点がメリットとして挙げられます。ただ、審査が厳重じゃない分、やはり詐欺案件が混じる可能性は否めません。
STO(Security Token Offering)
STO(Security Token Offering)とは、セキュリティトークンを利用して資金調達する仕組みのことです。セキュリティートークンとは、規制のもと発行され証券扱いされるトークンの事を指します。
STOは、政府機関等の審査を潜り抜ける必要があり、比較的煩雑なIEOよりも審査は厳しくなっています。ただ、投資家保護の観点が徹底した取引になるため安心感やリスクは小さくなります。
さいごに
いかがでしたでしょうか?この記事の内容をまとめると以下のようになります。
- ICOとは、企業(もしくは個人)が独自の新しいトークンを発行し、販売することで、資金を調達する仕組みのこと
- ICOの詐欺の多さからIEOやIDO、STO等のより投資家保護の観点が強い資金調達手段が生まれている