経済史

世界大恐慌とその背景と影響についてわかりやすく解説。

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この記事では1920年代後半に起こった世界大恐慌と、その背景と影響についてわかりやすく解説していきます。

世界大恐慌は、ニューヨークのあ暗黒の木曜日から始まり、世界中を不況に陥れました。その影響は、経済政策のあり方や、国際政治をも動かしました。

そして、世界大恐慌はのちの第二次世界大戦のきっかけにもなりました。

西洋経済史の記事一覧

古代〜中世:封建制下のヨーロッパ経済
初期近代(近世)①:大航海時代
初期近代(近世)②:国家形成の時代
近代①:なぜ西洋は最初に経済成長できたのか?
近代②:産業革命の時代
近代③:第二次産業革命の時代
現代:第一次世界大戦〜第二次世界大戦
現代:ブレトンウッズ体制
現代③:新自由主義の台頭と冷戦の終結

世界大恐慌の前夜:狂騒の20年代

世界大恐慌が起こる前、世界はヨーロッパを中心に大衆社会の様相を呈し、景気に沸き立っていました。アメリカでは狂騒の20年代と言われ、バブルのように株価が上昇し続けていました。

大衆社会の登場と社会運動の高まり

ヨーロッパの経済的地位が低下するのと並んで、大戦前の経済的富裕層の没落が進みました。イギリスでは大規模地主の没落、ドイツでもユンカーの没落が始まりました。

さらに、大戦後の累進課税方式の所得税や相続税が急富裕層の解体に拍車をかけました。その中で、大戦前に残っていた身分制の残滓は消滅しました。結果、富の平準化が進み大衆社会が到来したのです。

CHECK
  • ヨーロッパの経済的地位が低下するのと並んで、大戦前の経済的富裕層の没落が進みました。
  • 富の平準化が進み大衆社会が登場。しかし失業率は依然として高い

狂騒の20年代

ヨーロッパの復興が始まった1920年代、アメリカは好況に沸いていました。住宅建設と耐久消費財(冷蔵庫とかラジオとか)の需要を基礎にアメリカは堅調に経済発展を遂げます。この時代のアメリカを狂騒の20年代と表現することもあります。

第二次産業革命で生まれた、自動車や化学繊維、電機などの新産業も脚光を浴びるようになります。

特にこの時代のアメリカの繁栄を特徴づけるのが、自動車産業です。ヘンリーフォードは1908年に実用的なT型自動車の販売を始めました。

Tフォード
Tフォード

さらに、ベルトコンベアによる大量生産体制を始めました。これにより製品低価格高賃金の両方を可能にしたのです。1930年代の登録自動車台数は2600万台にのぼったと言われています。

さらに、自動車の普及に伴い、石油消費が急増し電力が普及しました。都市部では大規模水力発電所と遠隔にある都市に送電することが可能となっています。これにより、中小企業の機械化が進み、生産性が格段にアップしました。

これにより、大衆家庭では、掃除機や洗濯機、冷蔵庫などを利用することが可能になりました。さらに映画産業が20年代以降急速に成長し、大衆に娯楽を提供しました。

CHECK

住宅建設と耐久消費財(冷蔵庫とかラジオとか)の需要を基礎にアメリカは堅調に経済発展を遂げます。この時代のアメリカを狂騒の20年代と表現することもあります。

世界大恐慌:暗黒の木曜日から始まる悪夢

世界大恐慌のきっかけ:暗黒の木曜日

1920年代、アメリカの好況を支えた住宅や耐久消費財の需要のピークは1926年から1927年に迎えたと言われています。しかし、それにも関わらず株価は上昇を続けバブルさながらの様相を呈していました。

このバブルは1929年10月24日に弾け、ニューヨーク証券取引所の株価暴落(暗黒の木曜日:Black Tuesday)によって崩壊しました。

ウォール街大暴落 (1929年) - Wikipedia

世界大恐慌に

このアメリカの株価暴落は、国際的な資金の流れにも悪影響を及ぼします。ヨーロッパへの投資拡大のため、アメリカから資金が流入していましたが、証券市場崩壊によって資産が引き上げられていくようになります。

結果、ヨーロッパでは資金流出が続き各国で生産が落ち込むことになり、未曾有の世界大恐慌へに繋がりました。

これに対して、各国は経済への介入を強めていくことになると同時に、保護主義へと走るようになります。

CHECK

アメリカで起きた証券崩壊はヨーロッパや世界を巻き込む世界大恐慌に

世界大恐慌の影響①:金本位制の崩壊

金本位制は、貨幣の価値が金を基準とした制度です。

金本位制は、貨幣の価値は金が基準となっているため、通貨供給量を人為的調整をすることができません。そのため、経済が管理経済体制で得ることのできる、貨幣の価値をコントロールできるという利点を金本位制では生かすことができなかったのです。

そこで、ヨーロッパ諸国は、1929年の証券暴落をきっかけに金本位制から離脱をしていったのです。

世界大恐慌の影響②:世界が積極的財政政策への展開

金本位制の崩壊とともに、管理通貨体制に入った諸国は、国内への経済介入を深めていきました。

アメリカではニューディール政策、ナチスの経済政策が代表的なものでした。これらは、管理通貨制と金本位制の放棄の採用と表裏一体でした。

ニューディール政策

アメリカでは共和党のフーバー大統領から政権を引き継いだローズベルト大統領によって、市場放任を基軸とした緊縮財政から転換を加えます。

ローズベルト大統領

1933年にアメリカは金本位制から離脱します。そして、それに合わせてニューディール政策が行われたのです。目的としては、雇用の創出です。恐慌で失業者が増加しており、それに対応しようとしたのです。

具体的には

・ダム政策によって灌漑を行い、電力を確保するためにテネシー渓谷公社の設置
・農業調整法(AAA)を1935年に成立させ、農産物市場への介入
・全国産業復興法(NIRA)によってカルテルの結成を認め労働者雇用の保護(のちに違憲で廃止)


などを行いました。国際貿易秩序では、1934年の互恵通商協定法、35年の中立法によって貿易の活発化を狙いました。

ナチス

1932年に総選挙でナチスが第一党となり、アドルフ・ヒトラーが首相に就任しました。それまで、は予算均衡のために緊縮財政が取られ不況が深刻化しました。

ナチスの旗とヒトラー

ナチス政権は労働者の政治活動を禁止し、労働協約制度を破壊することで労働者の行動を制限しました。

その一方で、高速道路建設や軍需生産の拡大によって需要拡大をもたらしました。これにより雇用の創出と生産の増加に成功したと言われています。

劇的に失業者は減少しました、その後、経済統制と強化していき、自給自足的な経済体制を進め、軍事部門の強化を行いました。

CHECK
  • 管理通貨体制に入った諸国は、国内への経済介入を深めていきました。
  • アメリカではニューディール政策、ナチスの経済政策が代表的
  • 国家の経済介入は、管理通貨制と金本位制の放棄の採用と表裏一体

世界大恐慌の影響:ブロック経済と世界貿易の縮小

これまで説明してきた、金本位制や国家の経済介入は保護主義の動きと連動していました。保護主義は簡単にいうと、自国に有利な関税引き上げを行う、自由貿易主義とツイをなす考え方です。

ブロック経済のきっかけ:スターリング・ブロック

世界的関税引き上げのきっかけとなったのは、1930年のアメリカによるスムート=ホーレー関税法です。イギリスも対抗して、32年に関税法を制定しています。

イギリスは、同年におわた協定によって帝国内特恵関税を設定して、植民地を含めた経済ブロック化を進めました。これをスターリング・ブロックと言います。これによりイギリスは対植民地との貿易の比重が高まるようになります。

イギリスは関税その他、輸入制限を数量的に規制もしました。

関税引き上げ戦争からブロック経済へ

その他諸国も関税引き上げを行い、関税引き上げ戦争の様相を呈してました。こうした状態を止めるためにに1932年にロンドンで世界経済会議が行われました。しかし、交渉は破断し失敗に終わりました。

その後、スターリングブロック、ドルブロックなど自国優先の経済ブロックが形成されることになりました。

第二次世界大戦へ

しかし、この経済ブロックは資源を豊富に持つ国だからこそできる政策でした。ドイツは資源を持たない国でした。そこで、ヒトラーは生存権確保のために、1938年にチェコへの侵略を行いました。

結果、こうした経済ブロック化は、ドイツや日本のような資源を持たない国の侵略を引き起こし第二次世界大戦へとつながました。

世界は二分され、主に枢軸国と連合国の対立が起こり、地球上で戦争が起こることになったのです。

第二次世界大戦に関しては別の記事で解説しているのであわせて読んでみてください。

CHECK

経済ブロック化は、ドイツや日本のような資源を持たない国の侵略を引き起こすことになってしまい、第二次世界大戦へとつながる

さいごに

世界大恐慌に関する理解は深まったでしょうか?

最後に他にも西洋経済史の記事は以下にまとめてあるのでぜひ読んでみてください。

西洋経済史の記事一覧

古代〜中世:封建制下のヨーロッパ経済
初期近代(近世)①:大航海時代
初期近代(近世)②:国家形成の時代
近代①:なぜ西洋は最初に経済成長できたのか?
近代②:産業革命の時代
近代③:第二次産業革命の時代
現代:第一次世界大戦〜第二次世界大戦
現代:ブレトンウッズ体制
現代③:新自由主義の台頭と冷戦の終結

また最後におすすめの書籍を紹介したいと思います。まず、この記事は以下の書籍をもとに執筆しています。有斐閣アルマの「西洋経済史」は非常にベーシックな内容となっているので、学ぶ上で非常にためになると思います

ただ難易度がやや高いので、もう少し難易度を下げたい方は以下の書籍もおすすめです。この「やり直す経済史」は日本に関しても言及しているので、親近感を持って経済史にのぞむことができます。

また、これまでの経済史は西洋中心の考え方になっています。しかし、世界にはアジアやイスラーム地域に関しては忘れられがちです。そこで「グローバル経済史入門」は、東南アジアなども含めたグローバルな経済史を描き出しており、非常に学びが深いです。ぜひ読んでみてください。


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