この記事では、予算制約線とその傾き(価格比)について解説した記事になります。また、それと併せて別記事で解説している無差別曲線と組み合わせて導き出せる、最適消費点の求め方についても解説します。
また、この記事を読むことで、以下のようなメリットがあります。
もしまだミクロ経済学に関する記事の一覧も併せてお読みください。
効用最大の消費量を表す曲線:無差別曲線と予算制約線
効用関数は一つの財の効用(U)と消費量(x)の関係性を表しています。
しかし、効用関数ですと、効用が最大となる消費量は表せていません。そこでこれを補うのが
- 一定の予算制約の中における二つの財の消費量の組み合わせ
- 一定の効用の中における二つの財の消費量の組み合わせ
です。前者が予算制約線、後者が無差別曲線になります。それぞれ以下で解説をしていきます。
この記事では、まず予算制約線とその傾きの求め方ついて解説していきます。
また効用関数や限界効用などについて解説した記事は、こちらになります。あわせてお読みください。
予算制約線とは?
予算制約線とは
予算制約線は、財の価格と消費者の所得が与えられているとき、予算(所得)内で消費者が購入可能な最大の2つの財の組合せを示します。
その際に、二つの財のどちらかを選び、予算はすべて使い切るという仮定があります。
みなさんは無限にお金を持っているわけではありません。必ず所得の限度内でしかお金を使えません。この所得が予算制約の限度額になるのです。予算制約線は右下がりの直線になります。
購入可能領域
予算制約線とX軸とY軸で囲われた部分が消費者が消費可能な部分(購入可能領域)であると言えます。(下記のグラフ参照)。一方で、予算制約線の外に越え出た分は消費者には手が届かない部分となっています。
予算制約式
この予算制約、M=所得、Px=X財の価格、x=Xの数量、Py=Y財の価格、y=Yの数量とおいた場合、
M(予算)=Pxx(X財の支出額)+PYy(Y財の支出額)
となります。これを予算制約式と言います。また、所得とはX財とY財の合計金額です。
価格比:傾きの求め方
結論から言うと、予算制約式の傾きは、X財とY財の価格比(PX/PY)になります。
なぜそうなるのかを説明しましょう。まず予算制約式は、
M=Pxx+PYy
であることは先ほど説明しました。傾きを求める際は、この予算制約式を一次方程式の形に直します。すると、
Y=-(PX/PY)X+M/Py
となります。傾きはPX/PYであることがわかります。
そして、予算制約線の傾きは、X財とY財の組み合わせの価格比であることがわかります。
最適消費点
ここでは無差別曲線と、この記事で解説した予算制約線を使用することで求められる最適消費点について解説していきます。
無差別曲線に関しては以下の記事をお読みください。
最適消費点とは?
消費者は、与えられた所得の制約の下で、自分の効用を最大化しようとします。この効用が最大化された地点を最適消費点と言います。
最適消費点は、無差別曲線と予算制約線の交点にあたります。最適消費点では、予算制約の下で効用が最大化されており、なおかつその効用のもとでのX財とY財の最適な消費量の組み合わせが実現しています。
最適消費点の求め方
無差別曲線と予算制約線の交点では、限界代替率(MRS:交換比率)と価格比(予算制約線の傾き)がイコールとなります。(以下グラフ参照)
数式で表すと
最適消費点(E)=Px/Py(価格比)=MUx/MUy(限界代替率:MRS)
となります。
さいごに
最後まで読んでいただきありがとうございます!
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こちらはミクロ経済学に関して難しい数式を使うことなくわかりやすく説明してくれています。
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