この記事では、価格の弾力性と需要の弾力性について解説していきます。
結論をいうと、弾力性とは価格の変動によってある商品の需要や供給が変化する程度のことを指します。
経済学の知識がなくても理解できる内容となっています。知識をつけたいビジネスマンなどに読んでいただけたら嬉しいです。
- ミクロ経済学の知識
- 経済学で重要な価格弾力性の概念をざっくり学べる
需要の価格弾力性とは?

価格弾力性とは、価格の変動によってある商品の需要が変化する程度のことです。
また、価格弾力性は需要と供給の両方に存在します。まずは需要の価格弾力性について解説していきます。
需要の価格弾力性とは
需要量の変化率(%)/価格の変化率(%)
という数式で表されます。そして、
弾力性の数値が大きければ大きいほど弾力性は高くなり、小さければ小さいほど小さくなります。
- 数式:需要量の変化率(%)/価格の変化率(%)
- 意味:価格の変動によってある商品の需要が変化する程度
具体例を出してみます。タバコの価格が10%上昇したとします。結果、需要量が2%減少した場合、弾力性は0.2となります。逆に需要量が30%減少したら弾力性は3になります。この場合、後者の方が弾力性は高くなります。
また、弾力性のパターンは大きく3つに分けることができます。
- ① 1より小さい場合
- ② 1の場合
- ③ 1より大きい場合
の三つに分けることができます。
これをグラフで表すと以下のようになります。以下で、それぞれのケースを解説していきます。

①1より小さい場合
需要の弾力性が1より小さい時、需要量の変化率<価格の変化率という関係になります。
需要の弾力性が低い時、需要量の変化率の方が価格の変化率より小さくなります。

このようなケースとして、代用品が見つからない場合などがみられます。先ほどのタバコは、実はこのケースに当てはまります。喫煙者は、タバコなしでは生きれません(僕がそうです)。だから、価格が上がっても需要量が変化しにくいのです。
ちなみに、タバコの需要の価格弾力性は、0.2なそうです……
また、最近流行りのブランド戦略は、意図的に弾力性は低くさせる背作と言えます。高級感に訴えることにより、意図的に弾力性を低くしているのです。そうすることで、収益性を確保します。
②1の場合
需要の弾力性が1と等しい時、需要量の変化率=価格の変化率という関係になります。つまり、弾力性が高いわけでもなく引くわけでもない状態です。この状態を単位弾力的と呼びます。
グラフだと、ちょうど45度の二等辺三角形になります。

③1より大きい場合
最後に、需要の弾力性が1より大きい時、需要量の変化率>価格の変化率という関係になります。この状態は、弾力性が高い状態です。需要量の変化率が価格の変化率より小さくなるのです。

代替品が非常に多いものが該当します。日用品や農産物などのコモディティーが当てはまります。例えば、オレンジジュースは弾力性が非常に高いと言われています。オレンジジュースの価格が上がれば、他のジュースに需要が傾くのです。
- ① 1より小さい場合:需要量の変化率<価格の変化率→タバコなどの代用品が見つからない商品
- ② 1の場合:需要量の変化率=価格の変化率→①や②に該当する商品の中間
- ③ 1より大きい場合:需要量の変化率>価格の変化率→代用品が非常に多いもの
供給の価格弾力性とは?

供給の価格弾力性は
供給量の変化率(%)/価格の変化率(%)
という数式で表されます。
需要の価格弾力性の時と同様に、弾力性の数値が大きければ大きいほど弾力性は高くなり、小さければ小さいほど小さくなります。
これも、需要の時と同様に以下の三つのパターンに分けることができます。
- ① 1より小さい場合:1>
- ② 1の場合:=1
- ③ 1より大きい場合:>1
また、グラフにすると以下のようになります。

1より小さい場合
供給の弾力性が1より小さい時、供給量の変化率<価格の変化率という関係になります。
供給量の変化率の方が価格の変化率より小さくなります。この場合、非弾力的な状態と言えます。
このようなケースとして、ピカソの絵画のような供給が極めて少ないものが挙げられます。オークションやお宝鑑定団で高値がつくようなものです。こうした商品は供給が極めてすくなくなります。そのため、価格をいくら挙げても供給が増えることはありません。

1の場合
需要の弾力性が1と等しい時、供給量の変化率=価格の変化率という関係になります。つまり、弾力性が高いわけでもなく引くわけでもない状態です。この状態も同様に単位弾力的と呼びます。
1より大きい場合
最後に、需要の弾力性が1より大きい時、供給量の変化率>価格の変化率という関係になります。この状態は、弾力性が高い状態です。供給量の変化率が価格の変化率より小さくなるのです。

需給の価格弾力性の特殊パターン

需要と供給の価格弾力性について説明してきました。最後に特殊なパターンに関して解説します。
- ① 長期的視点で価格弾力性を見た場合
- ② 価格が変化すると消費者と企業どちらがコストを負担するのか?
長期的視点で価格弾力性を見た場合
需要と供給は、短期的には非弾力的です。しかし、長期的な視点で見ると弾力的なことが多いです。
ガソリンなどは典型的な例です。ガソリン価格が高騰するとします。短期的には車での移動は必要不可欠です。そのため、需要の弾力性は低いままです。しかし、技術の発展で燃費が良くなればガソリンの需要は少なくなり、次第に弾力性が高くなるのです。
価格が変化すると消費者と企業どちらがコストを負担するのか?
価格が高騰した際、どちらがコストを負担することになるのか。
- 需要が非弾力的:コストは消費者が負担することになります。
- 需要が弾力的:企業が負担することになります。
コーヒーは弾力的な商品です。もし、この場合コーヒー豆が高騰すれば喫茶店がコストを負担することになります。もし喫茶店側が価格をあげれば代替品に売上が取られるでしょう。
一方で、先のタバコは非弾力的な商品です。この場合、コストを負担するのは紛れもなく喫煙者なのです。
- 需要と供給は、短期的には非弾力的です。しかし、長期的な視点で見ると弾力的なことが多い
- 価格が高騰した際、どちらがコストを負担することになるのか。
- 需要が非弾力的:コストは消費者が負担することになります。
- 需要が弾力的:企業が負担することになります。
まとめ

これまでの内容をまとめると
- 価格の変動によってある商品の需要や供給が変化する程度
- 数式は需要/量の変化率(%)/価格の変化率(%)
- 1より大きければ弾力性は低く、1より小さければ高くなる
- 1と等しい場合は単位弾力性という
というようになります。
価格の弾力性は普段のビジネスの場においても役に立つでしょう。自社の商品の弾力性は果たして高いのか低いのか?低いのか?こうしたことを考えることで、商品の価格を決める際の根本的な考え方として使えるでしょう。
また、この記事をきっかけで少し経済学について理解を深めたいと思った方は、以下の書籍から初めてみるのがおすすめです!
それは、『スタンフォード大学で一番人気の経済学入門 ミクロ編・マクロ編』です。
こちらはミクロ経済学に関して難しい数式を使うことなくわかりやすく説明してくれています。
これらの本を理解できたら、次に『スティグリッツ入門経済学』を読んでみるのもアリだと思います。ですが、正直、信じられないくらい分厚いので覚悟は必要かもしれません。
しかし、この本を読めば経済学という学問の全体像を知ることができるのでオススメです。