経済史

経済から見た第二次世界大戦についてわかりやすく解説。

この記事では、第二次世界大戦におけるヨーロッパの経済を取り扱います。

特に、20世紀はじめはヨーロッパの没落と言われるように、経済の中心がアメリカ合衆国へと移っていた時代でもあります。その流れは第二次世界大戦によって決定的なものになりました。

また、この記事は以下の書籍を参考に作成しています。西洋経済史をわかりやすくまとめた教科書的な書籍です。よかったら併せて読んでみてください。

西洋経済史の記事一覧

古代〜中世:封建制下のヨーロッパ経済
初期近代(近世)①:大航海時代
初期近代(近世)②:国家形成の時代
近代①:なぜ西洋は最初に経済成長できたのか?
近代②:産業革命の時代
近代③:第二次産業革命の時代
現代:第一次世界大戦〜第二次世界大戦
現代:ブレトンウッズ体制
現代③:新自由主義の台頭と冷戦の終結

第二次世界大戦の背景

まず第二次世界大戦の背景について解説していきます。

具体的には1930年の世界的な恐慌とそれによるブロック経済化が世界で進展したことが挙げられます。

世界大恐慌:暗黒の木曜日から始まる悪夢

1920年代、アメリカの好況を支えた住宅や耐久消費財の需要のピークは1926年から1927年に迎えたと言われています。しかし、それにも関わらず株価は上昇を続けバブルさながらの様相を呈していました。

このバブルは1929年10月24日に弾け、ニューヨーク証券取引所の株価暴落(暗黒の木曜日:Black Tuesday)によって崩壊しました。

ウォール街大暴落 (1929年) - Wikipedia

世界大恐慌によるブロック経済の進展は、国際間の緊張を高めます。

ニューディール政策

アメリカでは共和党のフーバー大統領から政権を引き継いだローズベルト大統領によって、市場放任を基軸とした緊縮財政から転換を加えます。

ローズベルト大統領

1933年にアメリカは金本位制から離脱します。そして、それに合わせてニューディール政策が行われたのです。目的としては、雇用の創出です。恐慌で失業者が増加しており、それに対応しようとしたのです。

具体的には

・ダム政策によって灌漑を行い、電力を確保するためにテネシー渓谷公社の設置
・農業調整法(AAA)を1935年に成立させ、農産物市場への介入
・全国産業復興法(NIRA)によってカルテルの結成を認め労働者雇用の保護(のちに違憲で廃止)


などを行いました。国際貿易秩序では、1934年の互恵通商協定法、35年の中立法によって貿易の活発化を狙いました。

ナチス党党首アドルフ・ヒトラーの誕生

1932年に総選挙でナチスが第一党となり、アドルフ・ヒトラーが首相に就任しました。それまで、は予算均衡のために緊縮財政が取られ不況が深刻化しました。

ナチスの旗とヒトラー

ナチス政権は労働者の政治活動を禁止し、労働協約制度を破壊することで労働者の行動を制限しました。

その一方で、高速道路建設や軍需生産の拡大によって需要拡大をもたらしました。これにより雇用の創出と生産の増加に成功したと言われています。

劇的に失業者は減少しました、その後、経済統制と強化していき、自給自足的な経済体制を進め、軍事部門の強化を行いました。

ブロック経済と世界貿易の縮小

これまで説明してきた、金本位制や国家の経済介入は保護主義の動きと連動していました。保護主義は簡単にいうと、自国に有利な関税引き上げを行う、自由貿易主義とツイをなす考え方です。

世界的関税引き上げのきっかけとなったのは、1930年のアメリカによるスムート=ホーレー関税法です。イギリスも対抗して、32年に関税法を制定しています。

イギリスは、同年におわた協定によって帝国内特恵関税を設定して、植民地を含めた経済ブロック化を進めました。これをスターリング・ブロックと言います。これによりイギリスは対植民地との貿易の比重が高まるようになります。

このように世界は保護貿易主義をとり自国に立て篭もるようになり、国際間の対立は深まっていきました。

第二次世界大戦の概要

第二次世界大戦は1939年9月1日にドイツによるポーランド侵攻し、これに対して、3日にイギリス・フランスがドイツに対して宣戦布告したことで始まります。

ポーランド侵攻から70年、各国で異なる第2次大戦開戦日 写真3枚 国際ニュース:AFPBB News
ポーランド侵攻

主に枢軸国と連合国の対立という構図となっています。枢軸国は、ドイツ・イタリア・日本連合国は、イギリス、フランス、アメリカ合衆国、中華民国、オーストラリアなどになります。

第二次世界大戦の戦域は、ヨーロッパ・北アフリカ・西アジアの欧州戦線と、東アジア・東南アジアと太平洋・オセアニア・インド洋・東南アフリカ全域の太平洋戦線に広がりました。

CHECK
  • 第二次世界大戦は1939年9月1日にドイツによるポーランド侵攻
  • 枢軸国は、ドイツ・イタリア・日本連合国は、イギリス、フランス、アメリカ合衆国、中華民国、オーストラリアなど

ヨーロッパの世界大戦

ナチスのポーランド侵攻と第二次世界大戦の勃発

ドイツは、1939年9月1日にナチスドイツによるポーランド侵攻ののちに、1940年に総攻撃に出ます。

結果、中立国のオランダ、ベルギーを占領、さらにパリを攻略してフランスを降伏さてピレネー山脈までの西ヨーロッパを占領します。

東部戦線でも1941年6月に独ソ不可侵条約を破りソ連に侵攻し、ロシアの主要部分を占領しました。1942年頃からは、占領地の政権に戦争協力をさせるようになりました。

途中で心が折れて地図書くのテキトーになってます。参考までにしてください。

フランスのヴィシー政権は、占領日支払いにくわえ食料や石炭、兵器など戦争物資の供給を行いました。

同42年にドイツはロストフの戦いとモスクワの戦いで敗北し、これにより対ソ戦で思うような結果が出せなくなります。

ドイツの敗戦とヒトラーの自殺

1943年になると、ドイツの勝利にも翳りが見えるようになります。2月にスターリングラード攻防戦、5月に北アフリカ戦線で敗北し、北アフリカを放棄します。

ヨーロッパ戦線は1945年に連合軍は、ドイツ本土へ侵攻します。東はソ連に、西をイギリスとアメリカに追い込まれ四面楚歌の状況になった総統アドルフ・ヒトラーは4月30日に自殺し同政権は崩壊し5月9日にドイツ国防軍は降伏しヨーロッパ戦争が終結しました。

CHECK

総統アドルフ・ヒトラーは4月30日に自殺し同政権は崩壊し5月9日にドイツ国防軍は降伏しヨーロッパ戦争が終結しました。

太平洋戦争の勃発

第1941年に対米交渉が決裂し、12月8日午前1時にイギリスのマレー半島を攻撃し、ここに太平洋アジア戦線が始まる。日本軍は続いて真珠湾攻撃でハワイをに奇襲を加え勝利を収めます。

日本はイギリスとアメリカ、オランダなどの連合国に開戦し、ドイツやイタリアもアメリカに宣戦布告し戦線は世界に拡大しました。

1942年に入っても日本は戦勝を続け、イギリスの植民地のマレー半島やビルマ、オランダ領東インド、アメリカの植民地のフィリピンを占領します。

しかし、日本軍は6月にミッドウェー海戦で敗北し、この時期から連合国の立て直しが始まります。

1943年、日本軍はガダルカナル島の戦いで敗北するなど、戦線が拡大し補給線が国力を超えて延び切ったため、勢いを失い連合国との形成が逆転します。

ガダルカナル島

1945年になると、アメリカ軍が6月に沖縄を占領し、初の本土の一部を失います。8月には長崎と広島に新型の原子爆弾が投下されます。

同月8日には、ソ連軍が参戦します。同10日からの御前会議で降伏を決定し、同14日にポツダム宣言を正式に受諾し第二次世界大戦は終結します。

CHECK

1945年御前会議で降伏を決定し、同14日にポツダム宣言を正式に受諾し第二次世界大戦は終結します。

アメリカ中心の経済秩序の形成

対戦中、ヨーロッパ諸国は軒並み生産が減少します。人口も停滞し一人当たり生産量も減少します。一方で、アメリカ本土は軍需生産によって活況を呈することになります。

アメリカは連合国に対して戦争物資を供与していました。1939年に中立法の改正でイギリスとフランスへの武器輸出を開始し、1941年には武器貸与法を制定して、「その防衛が合衆国防衛にとって死活的」である国々に武器が提供されました。

このような、アメリカの物量によって連合国は当初不利だった戦線を巻き返すことができました。

武器の支援額は500億ドルに達し、イギリスやソ連、中国は恩恵を受けることになります。しかし、その一方でアメリカは経済成長を続け、戦後のアメリカの世界経済秩序の中にヨーロッパを組み込んでいくのでした。

CHECK
  • アメリカは連合国に対して戦争物資を供与していました。
  • アメリカの物量によって連合国は当初不利だった戦線を巻き返すことができました。
  • 戦後のアメリカの世界経済秩序の中にヨーロッパを組み込んでいくのでした。

さいごに

最後まで読んでいただきありがとうございます!西洋経済史に関する理解は深まったでしょうか?他にも西洋経済史の記事は以下にまとめてあるのでぜひ読んでみてください。

西洋経済史の記事一覧

古代〜中世:封建制下のヨーロッパ経済
初期近代(近世)①:大航海時代
初期近代(近世)②:国家形成の時代
近代①:なぜ西洋は最初に経済成長できたのか?
近代②:産業革命の時代
近代③:第二次産業革命の時代
現代:第一次世界大戦〜第二次世界大戦
現代:ブレトンウッズ体制
現代③:新自由主義の台頭と冷戦の終結

また最後におすすめの書籍を紹介したいと思います。まず、この記事は以下の書籍をもとに執筆しています。有斐閣アルマの「西洋経済史」は非常にベーシックな内容となっているので、学ぶ上で非常にためになると思います

ただ難易度がやや高いので、もう少し難易度を下げたい方は以下の書籍もおすすめです。この「やり直す経済史」は日本に関しても言及しているので、親近感を持って経済史にのぞむことができます。

また、これまでの経済史は西洋中心の考え方になっています。しかし、世界にはアジアやイスラーム地域に関しては忘れられがちです。そこで「グローバル経済史入門」は、東南アジアなども含めたグローバルな経済史を描き出しており、非常に学びが深いです。ぜひ読んでみてください。

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