マクロ経済学経済学

【イラスト図解】45度線分析・インフレーギャップをわかりやすく解説。|わかりやすいマクロ経済学(財市場)

この記事は、

  • 45度分析
  • インフレ・ギャップ、デフレ・ギャップ

について解説した記事になります。

この記事で得られること
  • マクロ経済の基本的な知識
  • 45度線分析やインフレ、デフレの知識がつく

また、この記事はマクロ経済学について基礎的な部分を抑えていると理解がしやすくなります。あわせて以下の記事も読んでみてください。

45度線分析とは?

45度線分析とは?

45度線分析とは45度線を用いて一国の経済を分析するものです。

特に、

  • 生産
  • 分配
  • 支出

3要素が国民所得をどのように決定するのかを表すモデルになります。のちに詳しく解説しますが、総需要と総供給が一致した点が均衡国民所得になります。

これにより一国の経済状態を分析することができます。

45度線分析は財市場を分析するモデル

45度線分析は一国の経済状況を測る上で非常に有効です。しかし45度線分析はあくまで財市場を分析するモデルになります。

ケインズ経済学の基本的な考えを示す非常に単純なモデルで、マクロ経済学において1930年代から40年代のケインズ以来、長期間に渡って利用されてきました。

ケインズ

分析に貨幣市場を加えたものをIS-LM分析といい、労働市場と貨幣市場を考慮した分析モデルがAD-AS分析と言います。

CHECK
  • 45度線分析:財市場を分析
  • IS-LM分析:財市場に貨幣市場を加えて分析
  • AD-AS分析:財市場に労働市場と貨幣市場を加えて分析

AD-AS分析IS-LM分析は以下の記事で解説しています。あわせてお読みください。

三面投下の原則のおさらい

ちなみに、生産・分配・支出は三面等価の原則で必ず等しくなります。三面等価の原則とは、国民所得が生産面、支出面、分配面の三つの側面が常に等しいという原則になります。

この点は45度線モデルを理解する上で非常に重要になります。必ず押さえておきましょう。

三面等価の原則に関しては以下の記事で解説しているので合わせて読んでみてください。

CHECK

45度線分析三面等価の原則をグラフで表したもの

45度線モデルの軸の意味

45度線分析の前提として、生産された付加価値は分配されて、その後に支出にまわされることを表しています。

45度線分析の前提

実際にグラフにすると

  • 横軸は総分配(Y)
  • 縦軸は総需要(Yd)総供給(Ys)

をとるグラフになります。

また、

  • 総供給(Ys)は、生産(供給:supply)面からみた国民所得
  • 総需要(Yd)は、支出(消費:demand)面からみた国民所得

という意味になります。

総供給曲線

先ほど45度線分析では生産された付加価値は分配されて、その後に支出にまわされるということが表されるとしました。そのため、総供給(Ys)と総分配(Y)は常に同じ数値をとる必要性があります。

そうなりますと傾きが1の以下のような直線を引くことになります。(以下のグラフ参照)

そのため総供給曲線は45度になっているのです。

総需要曲線

続いてこのグラフに、総需要(Yd)曲線をあらわす消費+投資(C+I)を書き込みます。

総需要(Yd)は、

  • 消費関数:C=Co+c1・Y
  • 投資関数:Io

の二つの関数で表すことができます。代入してあらわすと

Yd=Co+c1・Y+Io


となります。この式の中で、基礎消費(Co)と投資(Io)はYdの値とは無関係に決まっています。

そのため基礎消費(Co)と投資(Io)は縦軸の切片になります。

続いて、c1・Yをグラフに落とし込んでいきましょう。

これは、所得として分配されたYのうち、限界消費性向(c1)の割合だけの国民所得のうちの消費を表したものになります。

ここでは限界消費性向(c1)は傾きになります。

縦軸切片(Co+Io)から右上がりの直線を描くことで総需要の曲線を描くことができます。また、限界消費性向(c1)は0<c1<1の範囲内ですので、総供給曲線の傾きが1より急になることはありません。

ですので必ず総需要(Yd)とそう供給曲線(Ys)は交わることになります。

これによって45度線が完成しました。

CHECK

総需要曲線

  • 切片:基礎消費(Co)と投資(Io)は縦軸
  • 傾き:ここでは限界消費性向(c1)はになります。

均衡国民所得

総供給(Ys)から総分配(Y)の45度線と、総分配(Y)から総需要(Yd)を表す直線は必ず交わることになります。この交点では、

総供給(Ys)=総分配(Y)=総需要(Yd)


となります。この点が、総需要と総供給が均衡する均衡国民所得(Y*)になります。

均衡国民所得に関しては以下の記事で解説しているのであわせてお読みください。

インフレ・ギャップとデフレ・ギャップ

実際の経済では、望ましい経済状態であることはほとんどありません。

インフレーションは、総需要が多すぎる状態で、デフレレーションは、総需要が不足している状態です。この時に望ましい水準の総需要と実際の総需要のギャップのことをインフレ・ギャップ、デフレギャップと言います。

完全雇用国民所得

インフレギャップとデフレギャップの解説に入る前に完全雇用完全雇用国民所得について解説します。

望ましい国民所得の水準には、ひとつの目安として失業がない状態があげられます。ここで想定している失業とは、働きたくても働き口がない状態のことを指します。このような失業を非自発的失業といます。

この非自発的失業がない状態を完全雇用(full employment)といいます。完全雇用が達成された国民所得の水準を完全雇用国民所得(Yf)といいます。

この状態では、財市場が均衡している必要があります。それと同時に労働市場が完全雇用の状態にあります。

CHECK
  • 完全雇用働きたくても働き口がない状態の失業、つまり非自発的失業が存在しないような状態を完全雇用と言います。
  • 完全雇用国民所得財市場が均衡して、労働市場が完全雇用の状態にあります。

インフレ・ギャップ

インフレーションは、総需要が多すぎる状態で物価が上昇します。

景気が過熱しすぎると、労働力に対する需要が増加しすぎて、賃金の高騰につながったりします。物価も上昇します(インフレーション)。

これは、実際の均衡国民所得(Y*)完全雇用国民所得(Yf)の水準を上回っている状態です

インフレ・ギャップ

これは財に対する需要が完全雇用の水準に比べ多すぎる状態です。この需要の差をインフレ・ギャップといいます。過熱した経済状態を抑える政策をおこなう必要がでてきます。

CHECK

インフレーション:均衡国民所得(Y*)>完全雇用国民所得(Y)

デフレ・ギャップ

デフレーションとは総需要が総需要よりも少ない状態のことです。

不景気のときは失業者が増え、賃金も低い水準になります。物価も下落します(デフレーション)。これは、実際の均衡国民所得(Y*)完全雇用国民所得(Yf)の水準を下回っている状態です

これは財に対する需要が完全雇用の水準に比べ不足している状態です。

この需要の不足分をデフレ・ギャップといいます。

デフレ・ギャップ
CHECK

デフレーション:均衡国民所得(Y*)<完全雇用国民所得(Yf)

さいごに

最後まで読んでいただきありがとうございます!

この記事をきっかけで少し経済学について理解を深めたいと思った方は、以下の書籍から初めてみるのがおすすめです!

それは、スタンフォード大学で一番人気の経済学入門 ミクロ編・マクロ編です。

こちらはミクロ経済学に関して難しい数式を使うことなくわかりやすく説明してくれています。

これらの本を理解できたら、次に『スティグリッツ入門経済学』を読んでみるのもアリだと思います。ですが、正直、信じられないくらい分厚いので覚悟は必要かもしれません。

しかし、この本を読めば経済学という学問の全体像を知ることができるのでオススメです。

タイトルとURLをコピーしました