【図表あり】マクロ経済学とは?わかりやすく解説。〜有効需要の原理・国民所得〜

マクロ経済学

前回の記事では、マクロ経済学において重要なな指標や、経済全体の捉え方について解説しました。

今回は、有効需要の原則国民所得がどのように決定されるのかを解説していきます。三面等価の原則で言うところの支出の部分を主に取り扱うことになります。

この記事で得られること

・マクロ経済学の全体像がつかめる
・財市場の概要をつかめる

有効需要の原理

この節では、有効需要の原理について解説をしていきます。有効需要の原理は、マクロ経済学において前提となる原理になります。


古典派とケインズ派の論争

経済学において、二つの考え方が存在します。それが、古典派経済学派とケインズ経済学派です。マクロ経済学は、ケインズ経済学を基礎としています。古典派の理論への批判から生まれたのがケインズ経済学になります。

それぞれの派閥に関して詳細に解説していきます。

①古典派

アダム・スミス

古典派とは、アダム・スミスを始祖として経済学という学問をつくった人たちの考え方です。古典派経済学は、市場のメカニズムを解明することを目的に作られたものです。ちなみに古典派の始祖であるアダムスミスに関して詳しく知りたい方は以下の記事を読んでみてください。

 古典派は、人の力で市場はどうすることもできないとしています。それゆえ、自由放任主義(レッセフェール)という考え方を持っています。自由放任主義とは、政府や人間が手出しせずに放任することで効率に市場が機能するとする主張のことです。

しかし、現実の経済では格差や倒産、不況などが起こります。それゆえ、自由放任主義的な考え方には批判が寄せれることになります。

これに対して批判をしたのがケインズでした。

②ケインズ派

ジョン・メイナード・ケインズ

古典派の考え方に対して、疑問を突きつけることになったのが、1929年の世界恐慌です。世界恐慌では、大量の倒産や失業が発生しました。この頃から説得力を持つようになったのが、ケインズという経済学者の考え方です。

ケインズの影響を受けた人たちのことをケインズ派と呼称します。ケインズに関しては別の記事で解説しているので是非読んでみてください。


古典派VSケインズ派

マクロ経済学は、ケインズ経済学を基礎として整備された経済学の一領域です。ケインズ派は、総需要が総供給を決定するという立場に立っています。これを、有効需要の原理といいます。

一方で、古典派は供給されたものはすべて需要されるというセイの法則を前提におきます。

・ケインズ派→有効需要の原理
・古典派→セーの法則

セイの法則(古典派)

古典派が理論の前提においたセイの法則について説明します。

 セイの法則とは、ジャン=バチスト・セイというフランスの経済学者が提唱した法則です。意味としては「供給はそれみずからの需要をつくりだす」というものです。

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より簡単に解説すると、商品は作れば作るほど売れて、値段を下げれば必ず売れるとする考えになります。これは古典派に属するのちの経済学者も使用することになる主張でした。

セイの法則とは?

 供給はそれみずからの需要をつくりだす」というもの。商品は作れば作るほど売れて、値段を下げれば必ず売れるとする考え。

 この前提をもとに考えると不況時に、労働者が大量に失業したとしても賃金を下げれば失業は減るという考えになるのです。

とはいえ、現実には失業者が出ますし在庫がたくさん出ることもあります。これに対して、古典派は何かしらの要因(政府の規制など)によって市場のメカニズムが歪んでいると主張します。

そのため、不況で失業者が出たとしても、「だったらもっと規制を撤廃して、市場のメカニズムに任せるべきだ」という対処法しか示すことができないのです。

そのため、1930年代の大不況の際に具体的な経済への処方箋を古典派は提示することができなかったのです。


有効需要の原理

これに対してケインズ派は、売れ残りや失業は「需要が足りないからだ」と考えます。ただこの需要は、単に「欲しい」というものでは不十分です。

そこで、ケインズ派有効需要の原理を主張します。有効需要の原理とは、経済発展のためには有効需要を増大させるべきというものです。

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有効需要の原理とは?

経済発展のためには有効需要を増大させる必要がある

また、有効需要とは、古典派のいう需要とは違います。

古典派のいう需要とは、「欲しい」と人が思うことを指します。つまり、実際に購入したかどうかは関係ありません。

一方で、ケインズ派のいう有効需要とは金銭的な裏づけがある需要のことです必要です。

 不況時に失業が増えている場合は、基本的に有効需要が不足しているとケインズ派は判断します。そこで、金銭的裏付けのある政府が公共事業を行うことで有効需要を増加させることができるのです。 

この有効需要の原理はケインズ経済学、もしくはマクロ経済学の中でかなり重要な原理になります。

国民所得の決定

国民所得とは、国民全体が得る所得の総額のことです。マクロ経済学ではこの国民所得がどのようにして決定されるのかを理論化しています。ここでは、国民所得がどのようにして決まるのかを解説していきます。

また、ここでは簡単なモデルをもとに話を進めていきます。簡単なモデルとは海外との貿易を想定していない経済のことです。


需給均衡式

有効需要の原理では、需要が供給を決定するということでした。その結果、需要と供給は必ず一致することになります。これを式で表したものを需給均衡式と言います。

先に述べたように総供給(生産)で表します。企業などが生産した付加価値のことを指します。

生産によって生み出された付加価値は、給料などの形で人々の所得として分配されます。さらにその所得からお金を出して、他社の生み出した付加価値を手に入れます。

この一連のお金の使い方を総供給といいます。

総需要は、C(消費)I(投資)を合計したものです。消費とは、私たちが普段行なっている購買行動のことを指します。一方で、投資とは企業などが利益を拡大させるために工場や建物にお金を払う行為のことを指します。

三面等価の原則より等しくなるので、以下のような数式が成り立ちます。

Y=C+I

これを需給均衡式と言います。

需給均衡式

Y=C+I


国民所得と消費の関係性:内生

内生とは、国民所得と消費がお互いに影響を与え合うことです。内生は不景気の要因を考える上で非常に重要になります。内生についてもう少し具体的に見ていきます。

例えば、不景気になる要因として消費が少ないことが挙げられます。この時の消費と国民所得は、

消費(C)→国民所得(Y)という関係性が成り立ちます。

しかし、消費が少ないのななぜでしょうか?それは不景気だからです。この時の消費と国民所得の関係性は、

国民所得(Y)→消費(I)の順番で影響を与えています。

このように、国民所得と消費は相互に影響を与えあっているのです。


消費関数

内生で解説した国民所得→消費の関係性は、消費関数として表すことができます。消費関数によって消費量がどのような要因で決まるのかを解明することができます、

経済全体における支出の中で、投資や政府支出などがありますが、その中で一番おおきな割合を閉めるのが消費です。そのため国の経済政策では消費がもっとも重要視され、消費関数もまた重要な指標になります。

消費関数は次の形で表します。

消費関数は、家計が行う消費を決定する要因を分析するものです。その家計が行う消費は二つに分けることができます。

・基礎消費
・限界消費性向×国民所得

です。そして、この合計が消費になります。

基礎消費とは、所得の大小とは関係なく必要となる消費のことです。例えば、生きる上で金持ちであろうと貧乏であろうと最低限必要になる消費のことです。消費関数ではC0と表記します。

もう一つが、国民所得×限界消費性向です。限界消費性向とは、所得が一単位増加した時の消費の増加分のことを指します。つまり、手に入れたお金の何%を消費に回すのかということです。例えば、昇給した時にどのくらい贅沢をするようになるのか?ということです。ここでは限界消費性向はc1と表現します。

所得に限界消費性向にかけることで、所得が増えた分のうち消費に回った金額を算出でします。

また、限界消費性向は、0<c1<1の範囲内で収まります。全部使う1以内か、全く使わない0以上の範囲が限界消費性向なのです。

この基礎消費と限界消費性向×所得を足し合わせたものが全体の消費になるのです。

消費関数

C=C0(基礎消費)+c1(限界消費性向)・Y(国民所得)


投資の仮定

投資についても、投資関数を使って数式を立てることができます。投資関数とは、投資はどのような要因によって決定されるのかを表したものになります。

ここでは、単純化した形で表さすので、投資は一定と想定します。これを、表記するときは、以下のようにIにー(バー)もしくはI0と表します。ちなみに、このような定数のことを外生と言います。


均衡国民所得の求め方

これまで、二つの式を解説してきました。それが需給均衡式消費関数でした。これを組み合わせる(連立方程式で解く)と均衡国民所得をも求めることができます。均衡国民所得とは、経済の総需要と総供給が等しくなる国民所得のことです。

数式としては以下のようになります。では実際に需給均衡式と消費関数の連立方程式を使って均衡国民所得を導いてみましょう。

均衡国民所得

Y*=1/(1-c1)・(C0+I0)

需給均衡式と消費関数は以下のように表されます。

・需給均衡式 Y=C+I
・消費関数  C=C0+c1・Y 

国民所得(Y)の値を求めるために、需給均衡式(Y=C+I)に消費関数(C=C0+c1・Y)を代入します。

すると

Y=C0+c1・Y+I0
となります。

そのあと、Yを左辺にまとめ、
Y-c1・Y=C0+I0
Yでくくると
Y(1-c1)=C0+I0
となります。均衡国民所得を算出するので、Yを左辺に残したまま式全体を(1-c1)で割ります。

Y=1/(1-c1)・(C0+I0)

となります。そしてこの国民所得のYは、総需要と総供給が均衡した状態でのものになります。つまり均衡国民所得です。ですのでYに*をつけて

Y*=1/(1-c1)・(C0+I0

というようになります。これが均衡国民所得になります。

まとめ

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