【図表あり】ミクロ経済学とは?わかりやすく解説。〜部分均衡分析・一般均衡分析〜

ミクロ経済学

 この記事ではミクロ経済学を体系的に見ていきます。その中でも部分均衡分析一般均衡分析を詳細に解説します。前回記事の生産者理論と消費者理論に関して理解を進めている方が今回の記事はわかりやすく読めると思います。


部分均衡分析一般均衡分析は、最適な資源配分がどのようにしてなされるかについて分析するものです。部分均衡分析は、1つの財の、需要曲線と供給曲線をもとに分析を進めます。一方で、一般均衡分析では、複数の財をもとに分析します。その際に、無差別曲線と予算制約線を用いて分析をします。

この記事でわかること

・ミクロ経済学の全体像がつかめる
・部分均衡分析と一般均衡分析の概要をつかめる

部分均衡分析

完全競争市場

 消費者と生産者が市場で取引をするのは資源が有限だからです。もし資源が無限だった場合、消費者は効用をどこまでも最大化することができます。現実の経済では資源は有限です。これを資源の希少性いいます。

 希少な資源を最適に配分するうえで、完全競争市場が役立ちます。完全競争市場では、一番効率的な資源配分がなされます。

完全競争市場とは?

 完全競争市場においては、消費者と生産者は、無数に存在するとという前提があります。そのため、個人の行動の影響は市場において限りなく0になります。また、この時消費者と生産者はプライステイカーとなります。個人は市場で決まった価格を受け入れるしかないのです。なぜなら、完全競争市場では個人の行動の影響は0となるからです。

こうした完全競争市場は極端かつありえない仮定です。しかし、あえてこうした極端な単純化をすることで理論化することができるのです。

また、完全競争市場の性質はまとめると4つになります。

・無数の取引主体が存在し、消費者も生産者も市場に影響を与えない
・個人は市場の状況や価格に関して完全な情報を持つ
・各商品の価格や質は全て同質的
・取引や移動においてどんな制約も存在しない
・参入と退出が自由

また、こうした完全競争市場の条件を外すと、不完全競争市場や情報の非対称性とわれる市場の失敗という状況になります。

市場均衡

市場均衡

需要と供給が等しくなっている状態のことを市場均衡といいます。
また、市場均衡の時の価格を均衡価格(P)、取引量を均衡取引量(Q)といいます。こうした需要と供給の状態をグラフに落とし込んだときに以下のグラフのようになります。需要曲線と供給曲線の交点を市場均衡点(E)といいます

均衡:需要と供給が一致している状態
均衡価格:需要と供給が等しくなる価格
均衡取引量:需要と供給が等しくなる取引量
市場均衡点:需要曲線と供給曲線が一致する点

市場の調整機能


 市場には不均衡状態から均衡状態にいたるまでの調整機能があります。不均衡状態には大きく分けて二つあります。それが超過需要と超過供給です。超過需要とは、需要が供給を上回っている状態のことをさします。超過供給とは、供給が需要を上回っている状態のことです。

 市場では、超過供給や超過需要などの不均衡状態を調整して均衡にいたるのです。

 では、そもそも調整機能とはなぜおこるのか?それは、消費者と生産者のあいだで価格や取引量が変化するからです。
 調整機能が働いて均衡状態が成立した場合は、市場は安定的とみなされます。一方で、不均衡状態が維持もしくは悪化すると不安定な市場とみなされます。

価格の調整:ワルラス調整過程

需要と供給の不均衡の時、価格調整がおこなわれることをワルラス調整過程といいます。

この調整過程は非耐久財に多くみられます。非耐久財とは、消耗品などの長持ちしない商品に当てはまります。

具体例として、超過供給の場合であればスーパーの閉店前の惣菜の値引きセールがあります。超過需要の場合は、年代物のワインがそうでしょう。供給が少なく需要が多いため価格が上昇します。これが身近なワルラス調整過程です。

取引量の調整:マーシャル調整過程


 続いて、不均衡状態において数量調整がおこなわれる過程のことをマーシャル調整過程といいます。

この調整過程に当てはまる財の種類として耐久財が多くみられます。耐久財とは、長持ちする財のことです。

 具体例として、自動車や家電製品、家などがあげられます。自動車などは、需要が大きい場合に大量生産体制を整えることで取引量の調整をおこないます。この場合は超過需要です。逆に超過供給の場合、需要が小さく在庫がするので、生産量を縮小することで対処します。これが身近なマーシャル調整過程です。

余剰分析

余剰分析では、最適な資源配分について分析をおこないます。

消費者余剰

 ある財に対して消費者が支払いたいと思う最大金額から、実際に支払われた金額を差し引いたものを消費者余剰といいます。支払いたいと思う最大の金額は需要曲線上の点にあらわせされます。この消費者余剰をわかりやすくいうとお買い得感のことをいいます。

以下のグラフで考えてみましょう。以下の場合、市場均衡点Eと均衡価格P”と縦軸、需要曲線で囲まれた部分が消費者余剰になります。市場均衡価格の場合、それ以上の価格を出しても良いと思っている人にとってお買い得感を感じることになるのです。これが消費者余剰です。

生産者余剰

ある財の生産者が販売してもよいと考える最小の価格から、実際の販売価格を差し引いた分を生産者余剰といいます。

生産者余剰とは、わかりやすくいうと儲けた感のことを指します。利潤最大化の条件は
価格(P)=限界費用(MC)
となった時です。そして、供給曲線(S)は限界費用曲線のことでした。ここから供給曲線は、この価格でなら売ってもよいと考えていることを表す曲線になります。

以下のグラフで考えてみましょう。以下の場合、市場均衡価格(P”)と均衡価格(E) と縦軸を囲んだ部分が生産者余剰になります。この時、均衡価格の場合、それ以下でなら売ってもよいと考える人は儲かった感を感じることになるのです。

総余剰

 これまで説明してきた、消費者余剰と生産者余剰の合計を総余剰といいます。そして、市場均衡価格になった時、つまり、完全競争市場の時に総余剰は最大になるのです。

グラフで表すと以下のようになります。

また、総余剰が課税や規制の影響で総余剰が小さくなることを厚生損失といいます。

一般均衡分析

パレート効率性

パレート効率的資源配分

効率的な資源配分がなされる状態を、パレート効率的資源配分といいます。他の人の効用を減少させないことには、ある人の効用を増加させることができない状態です。経済学では、この状態をもっとも望ましいものと捉えます。
 もっと噛み砕いて説明してみましょう。社会全体として、他者も個人もみんな効用を受け取れるような状態のことをパレート効率的資源配分と言います。ある人がピザ一枚食べたいと思っていても、他人1人がいたら二等分にしなければいけないのです。2人なら3等分しなければいけません。

 個人は効用を最大にすることを望みます。しかし、必ず社会には他人が存在し、個人の効用を最大にする上で邪魔になるのです。その上で、資源ができるかぎり受け取れる状態のことをパレート効率的資源配分というのです。

パレート改善

 パレート効率的資源配分は他の人の効用を減少させないことには、ある人の効用を増加させることができない状態でした。逆に他の人の効用を減少させずに、ある人の効用を増加させることができる変化のことをパレート改善といいます。

ボックス・ダイアグラム


 資源配分をグラフであらわしたものをエッジワースのボックス・ダイアグラムいいます。ボックス・ダイアグラムでは、二人の無差別曲線を用いて表します。また、前提としてボックスダイアグラムは2人の消費者がお互いの財を交換し合う純粋交換経済を想定されています。


横軸はある財の量で、縦軸は別の財の量です。左下の原点を
そして、右上の原点とする、ある人の無差別曲線をえがきます。右上を原点として別の人の無差別曲線をえがきます。

また、パレート改善の場合は、以下のようになります。

 まず、交わって描かれる場合をみていきます。一方の無差別曲線はそのままにしておいて、もう片方はより効用の高い無差別曲線上で消費をおこなうことができます。これは、他の人の効用を減少させずに、ある人の効用を増加させることができる変化になります。

 では、パレート効率的資源配分が実現している地点は、ボックス・ダイアグラムの中でどのように表せるでしょうか?それは、2人の個人の無差別曲線の接点がそれにあたります。
この点に接線を引くと、その傾きは等しくなります。無差別曲線上の点に引いた接線の傾きは限界代替率ですので、パレート効率的資源配分の条件として、次の関係が導き出されます。

ある個人の限界代替率 = 他の個人の限界代替率


契約曲線


パレート効率的である、無差別曲線の接点を結んだ曲線を契約曲線といいます。

厚生経済学


これまで、パレート効率的な資源配分が良いという前提のもと話を進めてきました。しかし、効率的とは無駄がないということであって、公平性は担保されません。例えば、片方に資源が偏った方が効率的なら、平等とかそう行ったものは無視されてしまうのがパレート効率性なのです。

規範的に望ましい資源配分とは何か?そのメカニズムは望ましい資源配分を実現しているか?できていないなら、政府はどのように動くべきか?と行ったことを研究するのが厚生経済学です。この節では厚生経済学の考え方などの基本的なことについて触れていきます。

競争均衡

 パレート効率的資源配分は、純粋交換経済以外の場合でも達成されます。それは価格調整によって達成されます。価格調整によってもたらされる均衡を競争均衡(ワルラス均衡)といいます。
「ボックス・ダイアグラムで競争均衡をあらわす場合、価格を表現するため予算制約線の価格比にあたるものをつけ加えます。

競争均衡の条件

 価格調整によってパレート効率的な資源配分が達成される場合、2人の無差別曲線は1点で接しています。この接点には共通の「接線」が引けます。この接戦の傾きは価格調整によって望ましい資源配分をおこなうことができる価格比をあらわしています。よって競争均衡の条件は以下のようになります。

ある個人の限界代替率=別の個人の限界代替率=価格比

厚生経済学の第1定理

 競争均衡は、完全競争市場で価格調整を通じて達成されます。これを、厚生経済学の第1定理といいます。完全競争市場においてパレート効率的な資源配分が達成されるという仮定です。

厚生経済学の第2定理

 しかし、パレート効率的資源配分は効率的な資源配分であり、無駄のない配分です。しかし、これにより、資源が一方に偏るなどの問題があります。つまり、格差が生まれてしまうのです。この時に政府の所得政策が役に立ちます。

この考え方を説明するのが厚生経済学の第2定理です。それは、最初に政府が適切な所得分配をおこなえば、任意のパレート効率的な資源配分を達成させることができるという仮定です。

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