シュンペーターとイノベーション理論

シュンペーターとイノベーション理論 経済学

はじめに


 ””イノベーション”””

 
 みなさんは、この単語を聞いたことはあるのではないでしょうか?
この言葉は、現在のマーケティング理論などにも大きな影響を与えている言葉です。経営学者のドラッガーなどもこの概念を援用し発展させています。
そこで、この記事ではイノベーション理論と、その提唱者であるシュンペーターについてお話していこうと考えております。

 

シュムペーターの人生について


「イノベーション」という言葉を提唱した人物を「ヨーゼフ・シュムペーター」といいます。彼は、経済学者であり日本での人気が高い人物です。

引用:Wikipediaa


 1883年2月8日、シュムペーターはオーストリアで生まれ、紆余曲折を経たのち、29歳の時に出版した『経済発展の理論』という書籍で、後に説明する「イノベーション理論」を提唱しました。イノベーションという概念が広まり始めたのは、意外にも100年以上前のことなのです。
 そして、この書籍は大きな話題を持って受け入れられました。そして、優秀な経済学者としての地位を確固たるものにしたのです。(出典:伊東光春・根井雅弘(1993)『シュンペーター:孤高の経済学者』岩波書店)
 しかし、こんな彼だが、結構人生的には鳴かず飛ばずで、波乱に満ちた、それなりにツイていない人生を送っているのです。
 

悲しい結婚生活


 この悲しいキャリア生活ののちの1925年。42歳になったシュムペーターは2人目の女性と結婚することになります。しかし、この結婚生活は悲しいものになった。結婚相手は22歳のアンナという女性でした。42歳のオッサンが22歳の女性と結婚するとは…..なんだかんだモテる漢なのか…。
 しかし、この結婚生活は、長くは続きませんでした。出産を前にアンナは出血が止まらなくなり他界する事に。そして、子供もそのまま戻ってくる事もありませんでした。しかも、この出来事が起こる前に母親も他界していたのです。
 シュムペーターは、アンナが他界したのち彼女の日記を毎日欠かすことなくそのまま「写生」し続けていたという…….あまりにも純情すぎる漢……

悲しい学術生活

 このように妻を失いながらも研究を続けていたシュムペーター。しかし、1930年代に入ると「マクロ経済学」という分野が確立され始めていました。その創始者はケインズ。このマクロ経済学という領域がうまれてから、シュムペーターは「孤立」していくことになったのです。



 なぜなら、シュムペーターは昔ながらの経済学の分野の人物だったからです。結果、若い教え子たちはケインズのマクロ経済学の方向へ流れて行ってしまったのです…。
今も昔も新しいものに感銘を受けるのが若者の宿命。そんな宿命にシュンペーターは抗う事は出来ませんでした。

 こんな感じで、イノベーションの提唱者シュムぺーターは割と不運に巻き込まれる事の多い人物でした。
 しかし、今の僕たちにとって馴染みのある「イノベーション」を提唱したのはまぎれもなくシュムペータという人物だったのです。銀行が破綻したり、政治の世界から締め出されたり、妻を出産で失ったり、当時としては彼の理論は時代遅れとされたりとという感じでした。

イノベーションとはイノベーションてなに?


 では、イノベーションとはなにか?シュンペーターは、イノベーションの条件を以下のように定義ししました。
新しい財貨や新しい品質の財貨の生産
・新しい生産方法の導入
・新しい販路の開拓
・原料や半製品の新しい供給源の獲得
・新しい組織の実現
(J・A・シュンペーター『経済発展の理論』上巻 訳塩野谷雄一他1997)

上記の引用から分かるように、新商品に限らず、「販路」の開拓や新しい「組織」を作ることなどで実現されるものがイノベーションと、としたのです。現在はiPhoneとか新しいサービスだけがイノベーションと思われがちだが、原料の「供給源」や「販路」の拡張もイノベーションの範疇にいれられているのです
 そして、重要な点は「イノベーション」というのが「経済発展の原動力」となるということなのです。実際に、鉄道というイノベーションが起こった19世紀は多くの人々の生活が代わり、現在までその影響は続いています。その後には、車が登場、飛行機が登場と言った具合に、イノベーションの積み重ねこそが経済を前に進めるのです。

 そして、このイノベーションを引き起こす要因となるのが、「企業家」と「銀行家」の協力によって実現されるとします。企業家という、情熱的に事業を推進する人物だけではイノベーションは引き起こされません。そこには、お金が必要になるのです。そこで登場するのが「銀行家」ということになるのです。彼の可能性を見抜きお金を企業家に貸す。そうした主体によってイノベーションは推進されるのです。

 

「イノベーション」おこるとどうなる??


 ではイノベーションが起こることでどうなるのか。順序としては「静態」⇒「イノベーション」⇒「創造的破壊」⇒「動態」⇒「社会主義」という流れになります。
 まず、企業家がイノベーションを起こすことで「創造的破壊」が起こり、それによって経済状況は「静態」から「動態」へと変化を迎えます。また、静態とは特段大きなことが起こらず、「均衡」を保った経済の状態のことです。
 そこに、誰よりも新しい可能性を切り開いく力のある「企業家」という主体銀行家と組み、「イノベーション」により「創造的破壊」巻き起こす。結果、「動態」という次元に突入するのです。
(出典:根井雅弘(2019)『資本主義はいかに衰退するのか:ミーゼス、ハイエク、そしてシュンペーター』NHK出版)

 つまり、「静態」という何の変化もない「つまらない」状況に、「企業家」が登場しイノベーションを起こし風穴を空け、「動態」というクリエイティブに富んだ世界を実現するのだ。近年の例でいうと、iPhoneを2013年に発売し、モバイルライフに革命を起こしたスティーブジョブスはまさにこの例が挙げられるだろう。

 

「真の企業家」とは


しかし、イノベーションを起こした後は、①、イノベーションを模倣する人間が大量に登場し、「動態」は収束を迎え、再び「静態」へ移行する。つまり、皆がイノベーションを真似し始め、イノベーション自体が、ありふれたものになり面白くない世界に落ち着いてしまうのだ。
②そして、企業家は、ただ収益を管理する経営管理者である「経営管理者」に様変わりしてしまうのです。つまり、「企業家」は「労働者」とさほど変わらない主体になってしまうのです。ここから言えるのは、真の企業家たりうるのは、イノベーションを起こしているあいだに限られてしまうということなのです。
 こうした、サイクルをひたすら繰り返すのが経済であることを論じたシュムペーター。驚くべきことに、彼はこのサイクルが繰り返された先に資本主義が衰退し、社会主義が到来するとしています。
ここまでをまとめると、「静態」⇒「イノベーション」⇒「創造的破壊」⇒「動態」⇒「社会主義」という流れが存在しているということです。そして、シュンペーターの理論の興味深いところは、イノベーションが収束したのちのことにまで目を向けているということでしょう。

おわりに


シュムペーターという人物と、波乱に満ちた他人生を紹介したのち、イノベーション理論について説明してました。
まとめると
・イノベーションの条件とは
 -新しい生産方法の導入
 -新しい販路の開拓
 -原料や半製品の新しい供給源の獲得
 -新しい組織の実現
・イノベーションは企業家だけでなく「銀行家」と組むことで実現される
・「静態」⇒「イノベーション」⇒「創造的破壊」⇒「動態」⇒「社会主義」の順番で経済が動く
・イノベーションが衰退したのちは、企業家は「経営管理者」という官僚制的な人物に変化する
・真の「企業家」はイノベーションが起こっている間に限られるということ

ということになるのでした。

いかがでしたでしょうか?イノベーションって意外といろんなところで聞きますが、実は遥か昔からあった理論だったのです。そして、それを生み出したシュンペーターの理論は今も僕たちの中で生き続けているのです。

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